韓国映画への憧れ? ダルバール

ダルバール 復讐人 Darbar ☆ 【DVD】


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 今年73歳になるインド映画界の「スーパースター」ラジニカーントが主演を務める2020年のインドのクライム・サスペンス。ラジニ様の高齢を感じさせないエネルギッシュな演技はいまだに健在である。

 手腕を見込まれムンバイ市警察長官に就任したアーディティヤ・アルナーチャラム(ラジニカーント)は、麻薬がはびこり人身売買や売春が横行するムンバイの浄化に警察組織をあげて取り掛かる。誘拐された州副首相の娘らを救い出し、麻薬密売組織の壊滅をめざして徹底的に摘発を進めたアーディティヤだが、最愛の娘ヴァッリ(二ベーダ・トーマス)とともに恨みを抱く組織の襲撃に遭い、ヴァッリが命を落とすことになる。復讐に燃えるアーディティヤは政府人権委員会の制止も聞かず、犯人を特定するために次々と犯罪者たちを殺し始める。

 「踊るマハラジャ」は遠い昔のこととなってしまったが、それでも「スーパースター」ラジニカーントの新作と聞くと見ないわけにはいかない。個人的には3大カーンを経て「バフーバリ」や「RRR」のラージャマウリ監督に興味が移ったとはいえ、1995年の「ムトゥ踊るマハラジャ」の衝撃は忘れることができない。もちろん、その後の「チャンドラムキ」や「ロボット」シリーズも見ているが、どうしてもラジニ様の中にムトゥの面影を探してしまうのだ。その点、老いたとはいえ、スクリーンの中のラジニ様は元気いっぱい。しっかりと歌って踊り、セクシーさも健在だった。しかし、大きな違和感はラジニ様が演じているアーディティヤの復讐劇。娘を殺されたとはいえ、正義の守護者であるべき警察長官が法を無視して殺戮を繰り広げるのはいかがなものか。もちろん、相手が悪人であることはわかっているが、場面によっては大虐殺といえないこともない。心神喪失状態だったとしても、ラストには殺戮を正当化できる言い訳がほしかった。そして、ラジニ様の年齢のせいか、あるいは娘役の二ベーダ・トーマスをヒロインに据えたストーリーのせいか、ラジニ様の作品に毎回登場するセクシーな美女の中ではナヤンターラの露出は控えめ。その点も物足りなかった。

 想像に過ぎないが、もしかするとラジニ様はキム・ギドク監督作品のようなバイオレンスなアクションを演じてみたかったのだろうか。スタローンやジャッキーのようにベテランになればなるほど従来のキャラクターとは違った自分を演じてみたくなったり、シリアスなドラマに挑戦したりするようだが、ラジニ様もそうだったのかもしれない。

作品データ
監督:A・R・ムルガダース 出演:ラジニカーント、ナヤンターラ、二ベーダ・トーマス他
公開:2021年 製作国:インド

ダルバール 復讐人 [DVD] - ラジニカーント, ナヤンターラ, ニヴェーダ・トーマス, スニール・シェッティ, ヨーギ・バーブ, A.R.ムルガダース
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