「今は昔」を楽しむ シン・ウルトラマン

シン・ウルトラマン ULTRAMAN 【Amazon Prime Video】

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 昭和40年代の特撮ドラマの金字塔「ウルトラマン」を、樋口真嗣監督や脚本の庵野秀明ら「シン・ゴジラ」のスタッフが舞台を現代に置き換えてリブートした特撮映画。懐かしさも感じさせながら、「怪獣」を「禍威獣」、「科特隊」を「禍特対」に改めるなど随所に現代的な解釈が施されている。

 日本政府は、各地に出現する巨大不明生物「禍威獣」の被害に対し、防災庁内に「禍威獣特設対策室(禍特対)」を設置し、班長の田村(西島秀俊)の下で対策にあたっていた。ある日、禍威獣ネロンガが出現し、禍特対の神永新二(斎藤工)は逃げ遅れた子供を助けようとして命を落とす。ネロンガは宇宙から飛来した正体不明の巨人=ウルトラマンによって倒されるが、ウルトラマンは神永が自分を犠牲にして子供の命を救ったことを知り、自身が一体化することで神永を生き返らせ、禍特対の一員となる。神永は分析官の浅見弘子(長澤まさみ)とバディを組み、任務にあたるが、正体を知る外星人ザラブによって捕らえられてしまう。

 斎藤工や長澤まさみ、山本耕史などのテレビでの盛んな露出に興味を惹かれ、「ウルトラマン」が令和の時代にどのように描かれるかよりも、キャラクター中心に見てしまった。おそらく私以外にも豪華なキャストに興味を持って見た人は多いと思われ、その点では成功。登場人物のやりとりに重きを置いた演出も奏功している。しかし、豪華すぎるキャストが仇になり、キャラクターに負うところが大きくなってしまった感もある。「シン・ゴジラ」の災害シミュレーションの再現を期待したが、政府も禍特対もその点では物足りず、リアリティは大きく低下してしまった。もっとも、巨大怪獣ゴジラ以上に外星人(宇宙人)をリアルに描くことは難しいということか。

 若い人には豪華キャストによるキャラクターの面白さ、年配の人にはあちこちに伺えるオリジナルへのリスペクトを楽しむ作品のようだ。Prime Videoで見て正解だったかもしれない。果たして庵野秀明監督の「シン・仮面ライダー」はどちらの路線を進むのだろう。

作品データ
監督:樋口真嗣 出演:斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり他
公開:2022年 製作国:日本

シン・ウルトラマン - 斎藤工, 長澤まさみ, 有岡大貴, 早見あかり, 田中哲司, 西島秀俊, 庵野秀明, 樋口真嗣
シン・ウルトラマン - 斎藤工, 長澤まさみ, 有岡大貴, 早見あかり, 田中哲司, 西島秀俊, 庵野秀明, 樋口真嗣

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