うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー ☆ 【Blu-ray】
36年ぶりにテレビシリーズが復活した高橋留美子原作の人気漫画「うる星やつら」の劇場版アニメ第2作。劇場版は5作公開されているが、「機動警察パトレイバー」「イノセンス」などの押井守監督による1984年のこの作品は、賛否両論ありながらもマニアの評価が高い。
学園祭を翌日に控えた友引高校では、生徒たちが連日泊まり込みで準備にあたっていた。あたる(声・古川登志夫)やラム(声・平野文)たちの2年4組も大騒ぎをしながら準備を進めていたが、面堂終太郎(声・神谷明)が街へ買い出しに出かけると静まり返った街でチンドン屋と白い服の少女が歩いている不思議な光景を目撃する。一夜明け、生徒の指導に疲労困憊した担任の温泉マーク(声・池水通洋)は養護教諭のサクラ(声・鷲尾真知子)に促されて自宅アパートに帰るが、直後にアパートを訪ねたサクラは部屋にカビやキノコが繁殖し、時間の流れが狂っていると直感する。温泉マークはサクラに学園祭の前日が延々と繰り返されていると訴え、異常な状況を打破しようと考えた2人は、いったん生徒たちを下校させ、学校を閉鎖しようとする。
高橋留美子のファンだったので、「めぞん一刻」や「うる星やつら」はコミックも全巻揃え、80年代の「うる星やつら」のアニメは欠かさず見ていた。TVアニメが2022年に復活したのを機に劇場版の中でも最も印象に残っていた「ビューティフル・ドリーマー」をBlu-rayで購入。これまでもたびたび購入を検討していたが、手に入れるとすれば最後のタイミングだったかもしれない。
公開当時に見たときも不思議な気持ちで映画館をあとにしたことを覚えているが、40年近く経っても見終わったあとの不思議な気持ちは変わらない。しかし、当時としては斬新に感じられた設定や演出も、それ以降に出てきた作品に触れたこともあり、当時ほど強い違和感を覚えることはなく、あたるに対するラムの想いが十二分に伝わる作品であることを再認識した。インナースペース(精神世界)を扱うSF映画は少なくないが、80年代にアニメの中で取り上げ、しかも「夢オチ」で終わらせていない点はびっくり。当時ファンの間でも賛否両論になり、高橋留美子自身も「押井さんの『うる星やつら』です」と明言したことも頷ける。しかし、ハチャメチャなTVアニメの世界を超え、さらに幻想的な舞台に立っているとはいえ、そこにいるのは正真正銘「うる星やつら」の登場人物たちであり、私の好きな彼らだった。2022年版のTVアニメもオリジナルの世界観を壊しておらず、期待以上に楽しめているが、見比べてみると明らかに「ビューティフル・ドリーマー」の中には自分と一緒に過ごしたあたるやラム、仲間たちがいた。
作品データ
監督:押井守 声の出演」古川登志夫、平野文、鷲尾真知子他
公開:1984年 製作国:日本
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [デジタルリマスター版] [Blu-ray] - 古川登志夫, 平野文, 神谷明, 杉山佳寿子, 島津冴子, 押井守
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