ゴーストバスターズ/アフターライフ GHOSTBUSTERS:AFTERLIFE 【Amazon Prime Video】
1984年の大ヒット作品「ゴーストバスターズ」シリーズの最新作。第1作、第2作の監督を務めたアイヴァン・ライトマンの息子ジェイソン・ライトマンが監督を務めている。2016年のリブート作には興味を示さなかったビル・マーレイも出演を承諾し、CG出演の故ハロルド・ライミスも含めてオリジナルのメンバーが勢揃いした。
物理学オタクの少女フィービー(マッケナ・グレイス)は、家賃滞納でアパートから追い出されたシングルマザーのキャリー(キャリー・クーン)、兄のトレヴァー(フィン・ウルフハード)とともに、祖父のイゴン・スペングラー(ハロルド・ライミス)が遺したオクラホマの田舎町にある屋敷に引っ越すことになる。祖父の遺品を整理していたフィービーは、不思議な現象によって地下の隠し部屋に導かれ、謎の装置を発見する。地震学者でもある教師のグルーバーソン(ポール・ラッド)は、その装置がかつてニューヨークで活躍したゴーストバスターズが使っていたゴーストの捕獲装置と気づき、装置から飛び出したゴーストを追ううちに町外れの古い鉱山に破壊の神ゴーザが封印されていることを知る。
「ゴーストバスターズ」は学生時代に見た大好きな作品の一つで、2016年のリブート版も含めてシリーズはBlu-rayで揃えている。リブート版もオリジナルの監督を務めたアイヴァン・ライトマンが製作に回り、ダン・エイクロイドも製作総指揮を務めているので、正統なシリーズの作品なのだが、いまひとつ盛り上がりに欠けた感は否めない。敗因の一つは、リブート版でゴーストバスターズを務めた主演の女性3人のインパクトが弱かったことがあげられる。もちろん、3人ともベテラン俳優であり、知名度のあるコメディアンで、オリジナル版でゴーストバスターズ役を務めた3人と同じように「サタデー・ナイト・ライブ」などでも活躍している。それでも、「ゴーストバスターズ」のタイトルを冠するには荷が重すぎたのかもしれない。対照的にこの「アフターライフ」は、前半はタイトルを伏せて見ていたら「ゴーストバスターズ」シリーズの作品だと気づかないかもしれない。ドラマ前半の雰囲気や主役である少女トレヴァーと兄フィービーの行動は「ゴーストバスターズ」の世界を全く連想させない。むしろ、展開的には「グーニーズ」や「ET」のような少年少女を主人公とする作品に近く、荒唐無稽な設定であっても逆に感情移入しやすいのだ。そう考えると、二番煎じを狙わず、世代を替えてゴーストバスターズを継承させるという制作側の意図は見事に成功したといえるのではないだろうか。
このようにシリーズの正統な系譜を継いでいながら、その遺産に頼ろうとせず、オリジナルの匂いを控えめにしている点は非常に好感が持てる。ダン・エイクロイドやビル・マーレイが「ゴーストバスターズ」として登場するのはドラマの最終盤であり、最後の最後まで引っ張ったからこそ、「待ってました!」と声を掛けたくなり、エンドクレジットでレイ・パーカーJrの「ゴーストバスターズ」が流れたときに胸が熱くなるのだ。その上、ポストクレジットではシガニー・ウィーバーまで登場する。これでニック・モラニスにも出てほしかったといったらよくばり過ぎだろうか。
作品データ
監督:ジェイソン・ライトマン 出演:キャリー・クーン、フィン・ウルフハード、マッケナ・グレイス他
公開:2021年 製作国:アメリカ
ゴーストバスターズ/アフターライフ ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray] - マッケナ・グレイス, ポール・ラッド, フィン・ウルフハード, キャリー・クーン, ローガン・キム, セレステ・オコナー, エマ・ポートナー, ジェイソン・ライトマン
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