立派な古典 ウエスト・サイド・ストーリー

ウエスト・サイド・ストーリー WEST SIDE STORY ☆ 【UHD】

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 1957年に発表されたブロードウェイ・ミュージカルをもとに1961年に公開された名作「ウエスト・サイド物語」を、50年を経てスティーヴン・スピルバーグ監督が再映画化。第94回アカデミー賞では主要7部門にノミネートされ、アリアナ・デボーズが助演女優賞を受賞している。

 1950年代のマンハッタンのウエスト・サイドでは、ヨーロッパ系移民の「ジェッツ」とプエルトリコ系移民の「シャークス」が激しく対立していた。傷害で1年ほど服役し、出所したばかりのトニー(アンセル・エルゴート)は、かつてジェッツのリーダー格だったが、現在は仲間たちから距離を置いている。ある日、ジェッツのリーダー、リフ(マイク・ファイスト)に誘われてダンスパーティーに顔を出したトニーは、そこでシャークスのリーダー、ベルナルド(デヴィッド・アルヴァレス)の妹マリア(レイチェル・ゼグラー)と出会い、2人はたちまち恋に落ちる。それを知ったベルナルドは激怒し、ジェッツとシャークスの決闘にトニーを引っ張り出そうとする。マリアのために決闘を止めようとしたトニーだったが、ジェッツとシャークスがぶつかり合う中、リフがベルナルドにナイフで刺されると、トニーは我を忘れてベルナルドを刺し殺してしまう。

 「ウエスト・サイド物語」がシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」に着想を得たことは有名だが、既に「ウエスト・サイド・物語」そのものもエンターテイメントの世界では「古典」になっているといっていいのではないか。1957年のブロードウェイでの初演以来、世界各地で繰り返し上演されているので、ストーリーは同じでも演者や演出次第で印象が異なる古典落語に近いともいえそう。そういう意味で、今回の再映画化にあたっては、スピルバーグがどのように彼なりの脚色を施すのに興味津々だった。ところが、全編見終わってみると、意外なほどオリジナルに忠実という印象。もちろん、細かい点ではあれこれ変更が加えられているが、裏切りもなければ驚きもない。40年ほど前にテレビで初めて映画「ウエスト・サイド物語」を見たときの興奮は蘇ってこなかった。それほど初めて聴いた劇中音楽、ジョージ・チャキリスやリタ・モレノのインパクトは強いということなのだが、この「古典」の世界をオリジナルを知らない世代がどう受け取るのか興味深い。

作品データ
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー他
公開:2021年 製作国:アメリカ

ウエスト・サイド・ストーリー 4K UHD [Blu-ray] - アンセル・エルゴート, レイチェル・ゼグラー, アリアナ・デボーズ, デヴィッド・アルヴァレス, リタ・モレノ, スティーブン・スピルバーグ
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