若者の心を掴んだか マーヴェリック

トップガン マーヴェリック TOP GUN:MAVERICK 【イオンシネマ金沢フォーラス】

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 トム・クルーズを一躍トップスターに押し上げた1986年の「トップガン」の続編。トム・クルーズはもちろん、咽頭がんで闘病中のヴァル・キルマーも出演し、公開当時のファンを喜ばせた。

 ピート・”マーヴェリック”・ミッチェル大佐(トム・クルーズ)は、3機の敵機を撃墜した米海軍唯一のパイロットであるが、現場にこだわって昇進を拒み、超音速機のテストパイロットを務めていた。仲間のために開発計画の凍結を避けようとしたマーヴェリックは、目標であるマッハ10の壁を突破したものの、無理をしてテスト機を空中分解させてしまう。厳しい処分が課されるところだったが、旧友である太平洋艦隊司令官トム・”アイスマン”・カザンスキー大将(ヴァル・キルマー)の口添えで、精鋭パイロットが集まるノースアイランド海軍基地の「トップガン」の教官を命じられる。「トップガン」では、密かに建設が進められている某国のウラン濃縮プラントを破壊する特殊作戦の訓練が行われており、マーヴェリックはチームに親友の忘れ形見ブラッドリー・”ルースター”・ブラッドショウ大尉(マイルズ・テラー)がいることに戸惑いながらも、彼らを生還させるための厳しい訓練を開始する。

 1986年の第1作の公開当時、私は大学生。映画館で年間100本以上の作品を見ていた時期であり、リアルタイムで「トップガン」の熱狂を味わっている。第2作「マーヴェリック」のオープニングで、ケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」をバックに、空母から次々に戦闘機が飛び立つシーンで早くも鳥肌。誤解を恐れずにいうならば、この作品は「懐古趣味」以外の何者でもない。ストーリーは単純で、作戦遂行中に犠牲者は出ないし、政治色を薄めるためか敵国も伏せている。アイスマンの死という悲しみはあるものの、かつての恋人ペニーとの関係も最後には修復されてハッピーエンド。しかし、これらの「ご都合主義」も、無条件に肯定したくなるのだから始末が悪い。見たいものだけを見ることができる、偉大な「懐古趣味」であり、特定の年代にとっては、文句をいうだけ野暮というものだ。

 ちょうど私はトム・クルーズとジェニファー・コネリーの間の年代なので、50代でも「まだまだこれから」とこの映画を見て(理由もなく)元気が湧いてきた。そして「フェノミナ」の頃からずっと好きだったジェニファー・コネリーが、50代になってもなお美しさを増していることも嬉しかった。彼女の美しさは「男はつらいよ お帰り寅さん」の後藤久美子の美しさにも匹敵するといってもいい(ゴクミはまだ40代だが)。

 興行的にヒットしても果たして若い世代に届いているのか疑問だが、私の年代は残らず胸を熱くし、涙を浮かべながら鑑賞していることだろう。

作品データ
監督:ジョセフ・コシンスキー 出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー他
公開:2022年 製作国:アメリカ

トップガン マーヴェリック (オリジナル・サウンドトラック) - レディー・ガガ & ワンリパブリック & ハンス・ジマー
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