アイアンマン亡き後はDr.ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERSE OF MADNESS ☆ 【UHD】

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 マーベル・コミックのヒーローを主人公とした2016年の「ドクター・ストレンジ」の続編で、時系列では「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」から続く「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の28作目。

 ピーター・パーカー/スパイダーマンの窮地を救うために禁断の呪文を使い、マルチバースへ接続してしまったドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、一人の少女(ソーチー・ゴメス)を守って怪物と戦う夢を見る。夢から覚めたストレンジは、かつての恋人クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)の結婚式の最中、突如街に現れた怪物が夢で見た少女を捕らえようとしているのを目撃する。ストレンジとウォン(ベネディクト・ウォン)によって助けられた少女はアメリカ・チャベスと名乗り、自分はマルチバースを移動する能力を持ち、ストレンジの夢は別の宇宙の現実だと話す。アメリカを怪物から守るため、ストレンジはワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)に協力を求めるが、ワンダが失われた子供を取り戻すためアメリカの能力を奪おうとしていることを知る。

 「ドクター・ストレンジ」シリーズとしては2作目だが、「マルチバース」という、どうにでもなる設定を活用して複雑なストーリーにしてしまった。ベネディクト・カンバーバッチは1人4役で異なる世界のストレンジを演じるし、さらに別の世界のアベンジャーズに相当する「イルミナティ」が存在する。X−MENのチャールズ・エグゼビア=プロフェッサーX(パトリック・スチュワート)が登場するなど、嬉しいシーンもあるが、マルチバースの映像同様にあっち行ったり、こっち行ったりで落ち着かないまま物語が進んでしまった。それでも見慣れたドクター・ストレンジの安定感が強引に物語を収束させ、「ああ、面白かった」という感想で見終えることができた。映像面だけでなく、物語の構成の面でもサム・ライミ監督のセンスによるところは大きい。

 「アベンジャーズ/エンドゲーム」でアイアンマンを失った喪失感は大きいが、唯一、残ったヒーローたちをまとめられそうなのがドクター・ストレンジ。「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」ではピーター・パーカーの窮地を救い、頼りになるところを見せてくれた。「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」で終わった「インフィニティ・サーガ」(MCUのフェーズ1〜3)は劇場公開作品で構成されていたのでわかりやすかったが、フォーズ4から始まる「マルチバース・サーガ」はDisny+のドラマシリーズも入ってきて、配信を見ていない者にはいまひとつ分かりにくい(フェーズ4で予定されている17作品のうち配信ドラマが9本を占める)。この作品でも配信の「ワンダヴィジョン」を見ていないとワンダ=スカーレット・ウィッチの行動が唐突に感じられる。しかし、ドクター・ストレンジを中心とする物語に取り込んだことで、「ワンダヴィジョン」そのものも収まりがよくなったのではないか。しかし、これまでのところフェーズ4では「ワンダヴィジョン」や「ノー・ウェイ・ホーム」以外の作品がつながってこないようなので、宙ぶらりんの状態に置かれた感は否めない。

作品データ
監督:サム・ライミ 出演:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン他
公開:2022年 製作国:アメリカ

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