007/ノー・タイム・トゥ・ダイ NO TIME TO DIE ☆ 【UHD】
「ジェームズ・ボンド」シリーズの第25作で、2006年の「カジノ・ロワイヤル」以来、15年にわたってジェームズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグにとっては、この作品が最後の出演作になる。
スペクターとの死闘を終え、MI6から離れて平穏な日々を過ごしていたボンド(ダニエル・クレイグ)とマドレーヌ(レア・セドゥ)は、2人が訪れたイタリアのマテーラでスペクターの残党の襲撃を受ける。危機を脱したボンドたちだったが、過去について話そうとしないマドレーヌへの疑念から、ボンドは彼女との別れを決意する。5年後、ジャマイカで暮らすボンドのもとをCIAのフィリックス(ジェフリー・ライト)と米国務省のアッシュ(ビリー・マグヌッセン)が訪れ、誘拐されたロシアの細菌学者オブルチェフ(デヴィッド・デンシック)の救出に手を貸すよう依頼される。いったんは依頼を断ったボンドだったが、自分の後任として007を継いだノーミ(ラシャーナ・リンチ)から手を出すなと釘を差されたことから、依頼を引き受けることにする。
鑑賞後は、D・クレイグの「有終の美」を見届けた満足感でいっぱい。ショーン・コネリーやロジャー・ムーアのボンドはテレビ放映で親しみ、実際にシリーズを劇場で見るようになったのはティモシー・ダルトンやピアース・ブロスナンからだが、その時代時代で楽しんだ「ジェームズ・ボンド」シリーズの中でも、最もボンドを魅力的に演じたのはD・クレイグだった。80年代から90年代にかけての華やかさや疾走感はないが、D・クレイグが演じたボンドにはゴツゴツとした力強さがあり、アクションの重みが増して地に足の着いたアクション映画になったような気がする。また、ボンドの出生の秘密など背景を少しずつ明らかにしていくことで、ボンドのキャラクターもリアリティのあるものに変わっていった。シリーズが連続性を持ったことで脳天気に楽しむことは難しくなったが、D・クレイグの5作品を通してみると、新旧の「M」「Q」などMI6のメンバーやヴェスパー・リンド、マドレーヌとの関係などもよく分かり、さらに面白さが増すに違いない。
この作品には、これまでのD・クレイグのシリーズを意識的に裏切る展開が多く、最初のうちは違和感を覚えるものの、やっぱり最後は「期待の地平」にたどり着く。ボンドが迎えた結末も、D・クレイグに最大限の敬意を払った結果なのだろうと納得できた。もちろん、「ジェームズ・ボンド」シリーズは今後も続くのだろうが、これだけハードルが高くなると次回作のキャスティングは難しくなりそうだ。
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