ばるぼら 【Amazon Prime Video】
「ビッグコミック」で1973年から1974年まで連載された手塚治虫の同名漫画が原作。「手塚治虫生誕90周年記念」で、長男の手塚眞が監督、クリストファー・ドイルが撮影監督を務めた日本・ドイツ・イギリスの共同製作による2020年のドラマ映画。
美倉洋介(稲垣吾郎)は、有名作家としての名声を得ていたが、満たされない思いを抱え、鬱屈した日々を送っていた。ある日、彼は新宿駅の地下道で酔いつぶれている少女バルボラ(二階堂ふみ)に出会い、マンションに連れてくる。洋介の部屋に居着いたバルボラは、ことあるごとに挑発的な態度で洋介を翻弄するが、洋介は彼女の魅力に溺れていく。彼女との結婚を願った洋介は、彼女の母ムネーモシュネー(渡辺えり子)を通じて黒魔術の世界に関わりを持ってしまう。
手塚眞とクリストファー・ドイルという作家性の高い2人が組んだこともあり、独特の映像とリズムが感じられる作品。稲垣吾郎はそれほど器用な俳優ではないと思うが、作品の世界観にうまく収まり、さらに二階堂ふみという演技巧者に引っ張られる形で、なかなかの「二人芝居」を見せている。起承転結のストーリーを追う作品ではないので、2人を始めとするキャストが作り上げる「雰囲気」を楽しみたい。それにしても、二階堂ふみの引き出しの多さにはいつものことながら驚かされる。NHKの朝ドラ「エール」とほぼ同時期の作品なのだから。
訳が分からない作品といってしまえばそれまでだが、混沌とした世界がそれなりに着地点までたどり着いているので消化不良は感じない。80年代にはこういう雰囲気の作品は数多くあったが、バブル崩壊後は製作者側の懐事情もあるのか、作家性が高く、なおかつ冒険的な作品は少なくなったように思う。この作品は決してマイナー作品ではないものの、手塚治虫の独特の世界を、手塚眞が独特のセンスで作品化した異色作であり、個人的に「当たり」と感じる人も少なくないような気がする。
作品データ
監督:手塚眞 出演:稲垣吾郎、二階堂ふみ、石橋静河他
製作年:2020年 製作国:日本
ばるぼら - 稲垣吾郎, 二階堂ふみ, 渋川清彦, 石橋静河, 美波, 黒沢久子, 手塚眞, 古賀俊輔
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