ゴジラvsコング Godzilla VS. Kong ☆ 【UHD】
2017年の『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年)と2019年の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の続編であり、「モンスター・ヴァース」シリーズの4作目。シリーズのレギュラーであった渡辺謙演じる芹沢博士の息子役で小栗旬が出演している。
モンスターの調査研究機関モナークは髑髏島に基地を設け、コングを収容してゴジラから守っていた。しかし、巨大化したコングは基地内に収容できなくなり、移動の是非が議論されていた。一方、巨大テクノロジー企業エイペックス社CEOのウォルター・シモンズ(デミアン・ビチル)と、故芹沢猪四郎博士の息子である芹沢蓮(小栗旬)は、ゴジラを倒す新兵器のエネルギー源を得るため、モンスターの故郷である地下空洞に目をつけていた。元モナークの地質学者ネイサン(アレクサンダー・スカルスガルド)とコングの研究を行っている言語学者アイリーン(レベッカ・ホール)に協力を要請した彼らは、帰巣本能を利用してコングに道案内をさせ、地下空洞を探索することを提案する。調査隊にはウォルターの娘マイア(エイザ・ゴンザレス)、コングとコミュニケーションを交わせる少女ジア(カイリー・ホットル)たちが加わり、コングを髑髏島から南極基地へ海上輸送するが、コングの存在を察知したゴジラが艦隊を襲撃する。
オリジナルのゴジラからの腐れ縁で「モンスター・ヴァース」にも付き合っているが、シリーズが進むごとにファンタジー要素が深化しているような気がする。今回はついにコングとの手話によるコミュニケーションが成立したばかりか、地下空洞の中にコングの祖先が築いた文明の痕跡を見つけてしまう。こうなるともう「猿の惑星」といっていい。日本産のゴジラよりもメイド・イン・USAのコングにハリウッドが親近感を抱くのは理解できるが、あまりにも擬人化が過ぎてリアリティがなくなってしまったのだ。もちろん、エンターテインメントとしては面白いし、両雄のバトルにも迫力はあるが、SF映画というよりも鍛え抜かれた肉体がぶつかり合うプロレスを見ているようなもの。それに比べると陸上自衛隊がスーパーXでゴジラと戦っていた平成版「ゴジラ」の方がリアリティがあったともいえる。
それでも、ゴジラとコングを戦わせながら雌雄を決しない展開にした点は日米双方に配慮が行き届いている。メカゴジラという共通の敵を作り、両国のスター選手がタッグを組んで撃退するのだ。メカゴジラを作るのが中国企業だったら対決の構図がさらにはっきりしたかもしれないが、香港を戦いの舞台に選んだくらいでことを荒立てることはなかった。これなら日本人もアメリカ人も、他の国の人も傷つかない。そしてメカゴジラを倒したあとは両者がそれぞれの持ち場について外敵に目を光らせることになり、めでたしめでたし。もっとも、他のモンスターもうじゃうじゃいるコングの方が住環境的には厳しいような気もするが。
そして最後にハリウッド初進出を果たした小栗旬にも触れないわけにはいかない。インタビュー記事を読んでみると本人の英語力など様々な要因があって役割も変更され、出演シーンも大幅にカットされたという。ゴジラの「保護者」を務めた渡辺謙演じる芹沢博士亡きあと、小栗旬演じる息子がその役目を引き継ぐのかと期待したが、あえなくメカゴジラとともにやられてしまった。小栗旬には日本沈没から国民を救うことに専念してもらうしかないようだ。
キングギドラやモスラ、メカゴジラも出番を終え、このあと「モンスター・ヴァース」はどこへ向かうのだろうか。
作品データ
監督・アダム・ウィンガード 出演:アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン、小栗旬他
製作年:2021年 製作国:アメリカ
ゴジラvsコング 4K Ultra HD Blu-ray3枚組 - アレクサンダー・スカルスガルド, ミリー・ボビー・ブラウン, レベッカ・ホール, ブライアン・タイリー・ヘンリー, 小栗旬, エイザ・ゴンザレス, ジュリアン・デニソン, カイル・チャンドラー, デミアン・ビチル, アダム・ヴィンガード
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