本格アクションとの相性 モンスターハンター

モンスターハンター　MONSTER HUNTER　☆　【ＵＨＤ】



　人気ゲームシリーズの「バイオハザード」を実写映画化して成功を収めたポール・W・S・アンダーソン監督が、「二匹目のドジョウ」を狙って（？）カプコンの人気ゲームシリーズ「モンスターハンター」をハリウッドで実写化したアクションアドベンチャー作品。もちろん、主演を務めるのは実生活では監督の妻でもあるミラ・ジョヴォヴィッチ。

　米陸軍のアルテミス大尉（ミラ・ジョヴォヴィッチ）は、部隊を率いて砂漠で行方不明になった他の部隊を捜索中、巨大な砂嵐に巻き込まれてしまう。意識を取り戻した一行は、異世界に飛ばされたことを知るが、そこで軍の兵器が通用しない巨大なモンスターに襲われる。激しい戦闘の末、アルテミスを除いて部隊は全滅するが、窮地に陥った彼女を助けたのは異世界のハンター（トニー・ジャー）だった。アルテミスは元の世界に戻るため、ハンターと協力しながら、次々に襲いかかる巨大モンスターと激闘を繰り広げる。

　もともとゲームをする趣味はないので「モンスターハンター」は名前を聞いたことがある程度。小説やマンガの原作を知らずに映画化された作品を見るようなものなので、思い入れがない分、見方は厳しいのかもしれない。ミラ・ジョヴォヴィッチとトニー・ジャーという大好きなアクション俳優が顔を揃えた作品なのに、思ったほどワクワクすることはなかった。異世界に飛ばされる前まではドキドキして面白かったことを考えると、リアリティを求めない「異世界」が原因だったのかもしれない。「バイオハザード」もゾンビ映画の流れを汲むとはいえ、荒唐無稽な設定でいかにもゲームの世界だったが、この「モンスターハンター」はさらにファンタジーの世界に近づいていることから、トニー・ジャーやミラ・ジョヴォヴィッチという本格的なアクション俳優との相性はあまりよくないのだ。もっとも、他のアクション映画同様、コンピュータ処理された映像が多用されるようになり、身体を張ったアクションやカースタントの存在意義は薄れつつある。ハードなトレーニングを積んで撮影に臨んだキャストには申し訳ないが、撮影・編集技術の進歩は生身の身体を不要にしているのだ。その結果、ゲームやマンガの実写化といいながら、中国映画に見られるような、ＣＧを駆使したほとんどアニメーションといっていい映像に帰着するという皮肉な状況が生まれているような気がする。

　おそらく日本からも多くの資本が投入されているのだろうが、それならいっそお得意の着ぐるみモンスターを合成させるべきだったのかもしれない。妙にチープな雰囲気とおとぎ話の世界のようなキラキラ感が混在する不思議な作品だった。

作品データ
監督：ポール・Ｗ・Ｓ・アンダーソン　出演：ミラ・ジョヴォヴィッチ、トニー・ジャー、ロン・パールマン他
製作年：2020年　製作国：アメリカ


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