
クリストファー・ノーラン監督による、「インセプション」や「インターステラー」以上に「難解」と評される2020年のSFアクション映画。主演のジョン・デイビッド・ワシントンは、デンゼル・ワシントンの息子であるとのこと。
ウクライナで起きたテロ事件の鎮圧に向かったCIAエージェントの「名もなき男」(ジョン・デイビッド・ワシントン)は、敵に捕らえられて拷問を受けるが、口を割らずに毒薬で自殺を図る。ところが、テロ事件は偽装で、昏睡から目覚めた男は、自分がテストに合格したことを告げられる。彼に与えられたミッションは、時間を「逆行」する装置によって未来からやってくる敵の目的を探り、第三次世界大戦を防ぐというものだった。
あまりにも「難解」と言われるので構えてしまったが、ストーリーそのものは単純。敵の目的を阻止するため、敵の装置を利用して自分たちも時間を「逆行」して戦うというもの。ただし、分かりにくいのは「逆行」で、これまでのタイムトラベル物のように過去へ戻ってその時点から行動するのではなく、テープを巻き戻すように時間の流れとは逆に行動しながら時間を遡る。それを作品内では「逆行」と表現しているのだが、順行と逆行の動きが同時に起こっているのでややこしい。しかも、「逆行」しているときは呼吸がふつうにできないとか、熱さが寒さに逆転するなどというルール(?)もある。しかし、その点を除けば、あとは「逆行」して過去を体験しているのが誰なのかを押さえておけばストーリーは追える。
主演のジョン・デイビッド・ワシントンがデンゼル・ワシントンの息子だとは知らずに作品を見たが、イメージはそれほど父親とは重ならなかった。アメフトの選手だったということだが、演技力は十分なので、今後のキャリアを考えると父親のイメージと二重写しにならないのはプラスなのかもしれない。また、エリザベス・デビッキやケネス・ブラナーらの脇役も地味ながら存在感はばっちり。他にも「トワイライト」のロバート・パティンソンや「キック・アス」のアーロン・テイラー=ジョンソンがかつてのイメージから脱却して力強さやカッコよさを感じさせるのにはびっくりした。
ノーラン監督の持ち味である「難解」であることをセールスポイントにしたのだろうが、現代人の集中力のなさを考えればむしろ逆効果だったのかもしれない。ふつうにSFアクション映画として面白いのだから、最初からハードルを高くせず、あとから「謎」を小出しにして、リピーターを狙った方が効果的だったのではないだろうか。もっとも、コロナ渦で戦略そのものが成立しなかったとは思うが。
作品データ
監督:クリストファー・ノーラン 出演:ジョン・デイビッド・ワシントン、ロバート・パティンソン他
製作年:2020年 製作国:アメリカ
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