イップ・マン外伝 マスターZ 葉問外傳 張天志 MasterZ:Ip Man Legacy ☆ 【BD】
「イップ・マン」シリーズのスピンオフ作品で、「イップ・マン 継承」に登場し、ドニー・イェン演じる葉問と死闘を繰り広げた張天志を主人公にしたアクション作品。ドニー・イェンこそ出ていないが、ミシェル・ヨー、トニー・ジャー、デイブ・バウティスタなど共演者も豪華である。
イップ・マン(ドニー・イェン)との詠春拳の正統争いに敗れたチョン・ティンチ(マックス・チャン)は、武術界を離れ、小さな食料店を営みながら息子のフォンとひっそり暮らしていた。ある日、トラブルに巻き込まれた女性ジュリア(リウ・イエン)を救ったティンチは、町を牛耳る長楽グループのキット(ケビン・チェン)の恨みを買い、店に火を放たれてしまう。ナイトクラブを経営するフー(シー・イェンネン)とジュリアの兄妹に助けられたティンチだが、ヘロイン密売を企むキットがフーの縄張りを荒らし始める。キットの悪逆非道なふるまいに、ついにティンチはキットたちと闘う決意を固める。
ヒール(悪役)としてブレイクしたマックス・チャンが、「イップ・マン 継承」からベビーフェイス(善玉)に転向。以前の冷酷で残忍な役柄のイメージを払拭し、ひたすら耐える寡黙なヒーローを熱演している。アクションはユエン・ウーピンの折り紙付きで、闘うのもトニー・ジャー、ミシェル・ヨー、デイブ・バウティスタと相手にとって不足はない。決して明るい物語ではないが、「イップ・マン」シリーズにつきまとう窮屈さを離れたカタルシスがある。
「イップ・マン 継承」の正統なスピンオフで、ストーリーも同一の世界観の中で展開する。そのため、強引にチョン・ティンチをヒーローに仕立てようとする違和感もなく、自然に物語の中に入っていくことができた。もっとも、それには悪役キットを演じたケビン・チェンの存在が欠かせず、キットが義理も人情もお構いなしに私利私欲に走るからこそ相対的にティンチの「正義」が浮かび上がることになる。彼の存在がミシェル・ヨー演じる長楽のボス・クワンを単なる悪役ではなく、義の世界に生きるヒロインとしても成立させることになったのだ。
国内外を問わず、「義理と人情」や「暗黙の了解」が失われた現在、このような「古い」価値観にも魅力を感じずにはいられない。
作品データ
監督:ユエン・ウーピン 出演者:マックス・チャン、デイブ・バウティスタ、ミシェル・ヨー他
製作年:2018年 製作国:香港・中国
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