ドニー・イェンが孫悟空を演じた「モンキー・マジック 孫悟空誕生」から始まったシリーズ3作目。2作目の「孫悟空vs白骨夫人」から孫悟空はアーロン・クォックに、三蔵法師もウィリアム・フォンに代わったが、猪八戒のシャオ・シェンヤンや沙悟浄のヒム・ローなど主要キャストは続投している。
天竺に向かっていた三蔵法師(ウィリアム・フォン)たちは、旅の途中で女人国に足を踏み入れる。女人国では、男は危険な存在で国を滅ぼすと言い伝えられており、一行は囚われの身になってしまう。しかし、女王(チャオ・リーイン)は初めて見る男性に興味を抱き、男を処刑しようとする国師(ジジ・リョン)の目を盗んで彼らと接触するうち、三蔵法師に好意を抱くようになる。
今回はアーロン・クォック扮する孫悟空の影はやけに薄く、猪八戒や沙悟浄のハチャメチャぶりも控えめで、三蔵法師のウィリアム・フォンが主役のラブ・ストーリーになっている。もちろん、ほとんどアニメーションというCG処理やアクションも満載だが、あくまでも三蔵法師と女王の身分や境遇、思想を超えた恋がテーマで、その他の部分はほとんど印象に残らないといっていい。期待は大きく裏切られたが、意外に三蔵法師と女王のラブ・ストーリーが心を打つ。かつて「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のツァイサンとスーシンの悲恋に涙した私だが、それに近いせつなさを感じさせられたラブ・ストーリーだった。
「女人国」というタイトルから、「チャイニーズ・フェアリー・ストーリー」のように脇役に至るまで美人女優が勢揃いするのかと期待したが、それほどの華やかさはなかった。しかし、ジジ・リョンやリン・チーリンらのアラフォー女優もそれなりに見せ場を作って楽しませてくれたし、何より本当の意味で悪人が出てこないところがいい。
次回作があるとすれば、今度は正反対のハチャメチャなアクションが楽しめる西遊記になりそうだ。
作品データ
監督:ソイ・チェン 出演:ウィリアム・フォン、アーロン・クォック、シャオ・シェンヤン他
製作年:2018年 製作国:中国・香港
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