「マガディーラ」「バーフバリ」のS.S.ラージャマウリ監督による2010年のラブ・コメディ作品。「マガディーラ」のあとに製作された作品で、通称「トリウッド」と呼ばれるテグル映画である。
ポンコツ自転車で配送の仕事をしている貧しい青年ラーム(スニール)のもとに、幼い頃に亡くなった父が遺した土地を相続するよう通知が届く。土地を売るため、父の故郷に向かう列車でラームは絵の勉強をしている美しい女子大生アパルナ(サローニ・アスワーニー)と出会い、お互いに好意を持つ。父の故郷に着いたラームは、親切な村の有力者のラミニドゥ(ナーギニドゥ)と知り合うが、彼は亡き父の一族を仇と狙う因縁の相手で、しかもアパルナの父親でもあった。ラームの素性を知ったラミニドゥと息子たちは彼を亡き者にしようとするが、ラームもまた過去の因縁を知り、殺されないよう必死に立ち回る。
インド映画というと「ボリウッド」と呼ばれるヒンディー映画を中心に見ることが多く、アーミル・カーンやシャー・ルク・カーンらの洗練された作品が自分にとっては標準となっていた。そのため、知らず知らずのうちに風土に根ざしたインド映画の面白さを忘れてしまっていたが、この作品でラジニカーントの「ムトゥ踊るマハラジャ」の楽しさを思い出した。主演のスニールは「三大カーン」のようにイケメンではなく、どちらかというとラジニ様に近いおっさん顔。群舞(ダンス)もストーリーを語るベタなものだが、それがいかにもインド映画らしくていい。
本編3時間前後の作品が多いインド映画にしては130分と短め(!)で、構成も単純。過去の因縁に端を発しているものの、物語はわずか数日を描いているだけと珍しくシンプルなので、物足りなさを感じないではない。しかし、とんこつラーメンを期待してしょうゆ中華が出てきても、そのしょうゆ中華が美味しければそれはそれで嬉しい。ヒロインを演じたサローニ・アスワーニーも大きな瞳が印象的で非常に魅力的。作品全体としてはバランスもよく、十分に楽しめる作品だった。
作品データ
監督:S.S.ラージャマウリ 出演:スニール、サローニ・アスワーニー他
製作年:2010年 製作国:インド
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