そこまで殺すか 悪女

悪女 AKUJ0 THE VILLAINESS ☆ 【BD】

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 韓国には珍しい女性を主人公にしたアクション映画で、2017年のカンヌ映画祭で話題となった作品。まるでゲームの世界にいるような冒頭のアクションシーンが印象的だが、スタイリッシュなだけに留まらず、韓流ならではの情け容赦ない展開に驚かされる。

 韓国マフィアのアジトへ単身乗り込み、組織を壊滅させたスクヒ(キム・オクビン)は、逮捕されて国家情報院の暗殺者養成施設に収容される。過酷な訓練を経て舞台女優として新たな人生を歩み始めたスクヒは、アパートの隣人であるヒョンス(ソンジュン)と恋に落ちるが、結婚式当日にある人物を暗殺するよう指令が下る。ウエディングドレスのままライフルのスコープを覗いたスクヒは、その先にジュンサン(シン・ハギュン)の姿を見て動揺する。ジュンサンは、幼いスクヒを窮地から救って暗殺者に育て上げ、スクヒとの新婚旅行で訪れたソウルで殺されたはずだった。

 今年に入って「アトミック・ブロンド」や「レッド・スパロー」など女性を主人公にしたアクション映画がリリースされており、冒頭の5分を超えるアクションシーンを見ると「アトミック・ブロンド」同様のスタイリッシュな作風を狙っているのかと思わせる。ところが、情念どろどろの韓流映画に慣れ親しんだ身としては何ともしっくりこない。国家情報院の秘密施設での訓練も、スタイリッシュというよりは既視感のあるスポ根物に近いのだ。やはりアジア映画にハリウッド風のスタイリッシュさは似合わないと思ったのだが、さすがにチョン・ビョンギル監督である。その点は百も承知だった。主人公のスクヒが父親の敵を討とうとするのだが、一本調子の展開ではなく、「おじさん」と慕い、愛したジュンサンの裏切り、娘ウネに対する愛情、再婚相手のヒョンスが国家情報院のスクヒの監視役であることを知った絶望など、お馴染みの「ドロドロ」がたっぷり用意されていた。

 しつこいほど長いアクションシーンも、最後は気力だけのぶつかり合いになり、前半のスタイリッシュさはどこへやら。単にカッコいいだけのヒロイン映画にしなかったことで、ハリウッド映画の二番煎じにならず、正真正銘の韓国のアクション映画として成立したと言える。敵に捕らえられた夫ヒョンスと娘ウネの運命も韓流映画ならではで、期待を裏切らない(ネタバレになるので詳細は省略)。

 ヒロインを演じたキム・オクビンは、「渇き」で見せてくれた妖艶さを封印し、ひたすら芯の強さと純粋さを前面に出している。そしてもう1人、彼女の上官にあたるクォン部長を演じたキム・ソヒョンの宝塚的なカッコよさもまた印象深かった。

作品データ
監督:チョン・ビョンギル 出演:キム・オクビン、シン・ハギュン他
製作年:2017年 製作国:韓国


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