ミシェル・ロドリゲスが性転換手術を受けた殺し屋の男性を演じるという異色のアクション映画。グラインドハウスっぽい雰囲気たっぷりの作品を、アクション映画の巨匠(?)ウォルター・ヒルが監督している。
ある日、殺し屋のフランク・キッチン(ミシェル・ロドリゲス)は、雇い主の一人であるマフィアのボス、オネスト・ジョン(アンソニー・ラパーリア)たちに襲われ、意識を失う。安宿のベッドで目覚めたフランクが、全身を覆う包帯を解くと、彼の身体は女性のものに変わっていた。フランクの身体に性転換手術を施したのは、弟を彼に殺された闇医者のレイチェル・ジェーン(シガニー・ウィーバー)だった。怒りに燃えたフランクは、看護師のジョニー(ケイトリン・ジェラード)に支えられながら復讐のために行動を開始する。
前回のブログ更新から1か月ものブランク。「エージェント・オブ・シールド」や「孤独のグルメ」を少しずつ見ていたものの、本編作品にはつい腰が重くなってしまった。この「レディ・ガイ」は設定が興味深く、しかもウォルター・ヒルがメガホンをとり、ミシェル・ロドリゲス姐さんとシガニー・ウィーバー大姐御が共演しているとなれば見ないわけにはいかない。本編96分という長さもちょうどよかった。
語り部を務めるのはシガニー・ウィーバー演じる闇医者のジェーン。彼女の語りによってストーリーが展開するのだが、さすがにベテラン俳優だけあって彼女の語りにはぐっと惹きつけられる。しかし、脚本のせいなのか、字幕翻訳のせいなのか、ストーリーの根幹であるはずの「ジェーンがなぜ精神鑑定を受けているか」という点がわかりにくい。本来、この作品の面白さは殺し屋フランクが実在するのかどうかというミステリの要素にもあるはずなのに、肝心のその部分がぼやけてしまった。また、シガニー・ウィーバーの存在感があまりにも強すぎるために、ミシェル・ロドリゲスの熱演がかすんでしまった点も残念。ミステリの要素が希薄になったことでフランクの復讐も単純なものになってしまった。ウォルター・ヒル監督はアクション映画の佳作を数多く世に送り出しているものの、よくよく考えてみれば「傑作」と評価される作品はほとんどないような気もする。せっかく、ミシェル・ロドリゲスに男装までさせているのだから、彼女のセクシーさを前面に出すなど、もう少し弾けてもよかったのに。やっぱりこのテの映画を撮らせるならタランティーノということになってしまうのだろうか。
作品データ
監督:ウォルター・ヒル 出演:ミシェル・ロドリゲス、シガニー・ウィーバー他
製作年:2016年 製作国:アメリカ
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