ベルリンの壁崩壊直前の東西ドイツを舞台にしたシャーリーズ・セロン主演のスパイアクション。ジェームズ・マカヴォイやソフィア・ブテラ、ジョン・グッドマンなどキャストも豪華で、さらにシャーリーズ・セロンが特訓を重ねて自ら挑んだアクションも話題になった。
東西冷戦下の1989年、MI6のエージェント、ロレーン(シャーリーズ・セロン)は、東ベルリンに入り、流出した西側のスパイリスト回収と二重スパイ「サッチェル」の探索を命ぜられる。ロレーンはベルリンで活動するパーシヴァル(シャイア・ラブーフ)の協力を得るよう指示を受けるが、不審な行動をとるパーシヴァルに対して疑念を抱く。さらに彼女の前にフランスDGSEの若いエージェント、デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)や、リストを狙うKGB、CIAも絡み、ロレーンの任務は困難に直面する。
ごまかしではないアクションを披露しているシャーリーズ・セロンや胡散臭いエージェントを演じるシャイア・ラブーフ、セクシーなソフィア・ブテラなど、豪華キャストが魅力たっぷりに登場人物を演じている。内容的にも複雑なストーリーを本編115分に収めたところもエンターテイメントとしては合格点。1989年の物語ということで劇中に流れる音楽も当時の洋楽で(外国映画だから洋楽なのは当たり前か)、MTVや「ベストヒットUSA」世代としてはBGMを聞くだけでもワクワクしてくる。個人的には当時好きだったドイツの人気バンドNENAの「ロックバルーンは99」が使われていたのが特に嬉しかった。
重苦しい雰囲気になりがちなスパイ映画をスタイリッシュに描きたいという姿勢が、シャーリーズ・セロン演じるロレーンの人物造型やクレジットの挿入の仕方からもうかがえ、クエンティン・タランティーノ作品にも通じるところがある。しかし、タランティーノ作品との大きな違いはスピード感。MI6本部での聴取を通して物語を振り返る形式をとっているためか、特に前半はもたついた感がある。また、二重スパイを探すというストーリー展開上、MI6、CIA、KGB、DGSE、シュタージなど各国の情報機関が交錯し、人物関係がわかりにくいもの難点。最後に二重スパイ、サッチェルの正体が明らかになると「なるほど」とスッキリするのだが、その直前までモヤモヤ感がつきまとう。せっかく、シャーリーズ・セロンらが身体を張って説得力のあるアクションを見せているのに、全体のテンポがそれを活かしきれていない点が残念。
作品データ
監督:デヴィッド・リーチ 出演:シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ他
製作年:2017年 製作国:アメリカ
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