ホラーのオムニバス「V/H/Sシンドローム」からスピンオフした作品。オリジナルは未見で情報も少なかったが、Amazonプライムの作品の中で、微妙に評価されているので暇潰しに見てみることにした。
ジョナ（チェイス・ウィリアムソン）は結婚式を目前に兄や親友たちと４人で独身最後のパーティに繰り出す。お目当てのストリップ・バーは評判倒れで、その店にいた怪しげな男に郊外のクラブを紹介される。男の案内で古い屋敷を改装したクラブに入った一行は、迷路のような屋敷の奥で監禁されている少女を見つけ、彼女を屋敷から連れ出そうとする。
タイトルの「サイレン」はギリシャ語で言う「セイレーン」のことで、美しい歌声で航海中の人を惑わす半人半鳥（半人半魚）の怪物を指しているらしい。海は全く関係ないが、出てくる怪物は歌声で人々を惑わし、背中にはちゃんと羽根が生えている。セイレーンというとどうしても日本の「妖女伝説セイレーン」シリーズを連想し、男たちを虜にするヒロインの登場を期待してしまうが、その点では期待外れだった。この作品でヒロイン＝怪物セイレーンを演じたハンナ・フィアマンもそれなりに魅力的ではあるが、なにせ夜の物語なので画面が暗くて顔も肢体もさっぱり見えない。しかも、変身した姿は口裂女に加えて頭までぱっくり割れている。これでは襲われたジョナも恐怖しか感じないだろう。何を目当てに見るか＝何を見せようとして撮るか、という話になるが、「妖女伝説セイレーン」はよかったなあ。
アメリカ映画なのに、かつてのイタリアのホラー映画を見ているような中途半端なテンポと暗さが次の展開を予想させず、奇跡的に１時間半近くを引っ張ることのできる作品になっている。しかし、騒動に巻き込まれる若者たち以外の、怪しげな登場人物たちが何者なのか全くわからないのでストレスの溜まる人は多いかもしれない。
今後、この作品について論じ合える人が現れるとすれば僥倖である。
作品データ
監督：グレッグ・ビショップ 出演：チェイス・ウィリアムソン、ハンナ・フィアマン他
製作年：2016年 製作国：アメリカ
次はこれ買う！
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