ノルウェー出身の映画監督モルテン・ティルドゥムの「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」に続く英語によるSF映画。作品の大部分はクリス・プラットとジェニファー・ローレンスが出ずっぱりで出演者そのものが少ないが、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシアなど少数精鋭のキャストになっている。
宇宙移民を乗せた宇宙船アヴァロン号で人工冬眠から目を覚ましたジム(クリス・プラット)は、装置の故障によって5000人の乗客の中で自分だけが冬眠から覚め、目的の惑星に到着するまで90年もあることを知る。再び冬眠に入ることもできず、救助を求めることもできない絶望的な状況に追い込まれたジムは、孤独に耐えながら1年余りの月日を過ごしていたが、ある日冬眠ポッドで眠る作家オーロラ(ジェニファー・ローレンス)を見つける。彼女に惹かれたジムは、寂しさに耐えられず彼女を人工冬眠から目覚めさせてしまう。ジムは彼女を目覚めさせたことに罪の意識を感じながらも、オーロラとの暮らしに喜びを感じる。
地球侵略をもくろむ異星人とド派手な戦闘を繰り広げるSF映画もいいが、ジワジワと面白さが伝わってくるこのような地味なSF映画も悪くない。生命の危機をどう乗り切るかというドキドキ感もさることながら、主人公の男女の関係がどうなるのかというドキドキ感の方が大きく、SFの枠を借りた恋愛映画といってもいい。ジムやオーロラの葛藤が表面的だったのは賛否が分かれるところだが、エンターテイメントとしてはこの甘っちょろさも許容範囲だろう。マイケル・シーンやローレンス・フィッシュバーンも2人の関係には介入せず、あくまでも脇役として多少の彩りを加えるだけ。あくまでもさらっと楽しみ、「めでたしめでたし」で見終える作品である。壮大な宇宙で展開する、ちっぽけな恋愛映画と言ったところだろうか。Amazonビデオの100円レンタルということを考えると、コストパフォーマンスは高い。
作品データ
監督:モルテン・ティルドゥム 出演:クリス・プラット、ジェニファー・ローレンス他
製作年:2017年 製作国:アメリカ
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