とことん悲惨なレオ様 レヴェナント

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 マイケル・パンクの小説を原作に、アメリカの西部開拓時代に生きたヒュー・グラスの半生を描いた2015年の伝記映画。「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でアカデミー賞監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は、この作品でもアカデミー賞監督賞を受賞した。


 1823年、毛皮ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、先住民の妻との間にもうけた息子ホーク(フォレスト・グッドラック)や仲間とともに川を下っていた。グラスは見回りの途中で熊に襲われ重傷を負い、隊長のアンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)は瀕死のグラスを残して出発することを決断する。彼の最期を見届ける者として、ホークとフィッツジェラルド(トム・ハーディ)、ブリッジャー(ウィル・ポールター)が残ることになるが、フィッツジェラルドはグラスを殺そうとしたところをホークに見つかり、彼を殺してしまう。グラスは一命を取り留め、ホークの仇を討とうとジョンのあとを追う。

 どのような役を演じても、レオナルド・ディカプリオはやっぱりレオナルド・ディカプリオ。この点ではトム・クルーズやトム・ハンクスと変わらない。スケールはだいぶ違うが、日本の俳優で言うと木村拓哉に相当する。しかし、レオ様の場合、トム・クルーズやキムタクのように鼻につくことはない。個人的な好みの問題かもしれないが、実はレオ様の演じる役柄に理由があるのではないだろうか。トム・クルーズやキムタクはあくまでも自分のカッコいいイメージにこだわるが、レオ様の場合は意外に虐げられる役も多い。出世作「ロミオ+ジュリエット」や大ヒット作「タイタニック」にしても、評価の高い「ディパーテッド」や「ブラッド・ダイヤモンド」でも、決してレオ様の演じた主人公の結末はハッピーエンドではない。この作品では、これまでの作品の集大成とも言えるようにレオ様は徹底的に悲惨な目に遭う。グリズリーに襲われるシーンも必要以上と思われるほど虐待される。ふつうならこの時点で死んでいるのだが、生き延びても次々に痛くてつらい事態が繰り返される。その割にラスト40分はあっさりで、作り手もこの物語を復讐譚としてではなく、マゾヒスティックに耐えるレオ様を中心にして描きたかったのかもしれない。つまり、作品の中とはいえ、ここまで悲惨な目に遭っているレオ様をふつうの感覚では鼻につくとは感じないということなのだろう。

 決して短い作品ではなかったが、レオ様に襲いかかる痛さやつらさのバリエーションが豊かで、飽きさせることのない1本だった。

作品データ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ他
製作年:2015年 製作国:アメリカ映画


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