ハズレ覚悟も　スペシャル・フォース: 案山子庵（かかしあん）　KAKASHI-AN

ハズレ覚悟も　スペシャル・フォース

2017年09月17日

スペシャル・フォース特殊機動部隊
辣警霸王花　SPECIAL FEMALE FORCE　☆　【DVD】

　女性だけの対テロ特殊部隊の活躍を描く、香港のアクション映画。2010年度ミス国際中華で沖縄観光大使も務めたエリザ・サム、2007年度ミス・アジア（？）のジョアナ・ホーら美女が勢揃いしているが、作品の当たり外れが激しい竹書房からの日本版発売。ちなみにジャイモン・フンスーが出ている邦題が同じ2011年のフランス映画もあるが、もちろん関係はない。

　香港警察の特殊女性部隊SFFは、「大統領」と呼ばれるテロリストの捜査中、隊長のフォンを除く全員が銃撃戦の犠牲となり、殉職してしまう。20年後、フォンはSFFの教官となり、女性警官を集めて過酷な訓練を行っていた。個性的なメンバーが集まったDチームは、努力の甲斐もなく選抜から漏れてしまう。しかし、Ｄチームは警察の外部組織CTISDの極秘チームとして招集され、再び姿を現した「大統領」を逮捕するため、シンガポールへと向かう。

　女性単独はともかく、女性が複数で男性顔負けの活躍をするアクション映画は、ハリウッドよりもアジア映画に多いような気がする。マギー・Ｑの「レディ・ウエポン」やスー・チーの「クローサー」などはまだまともな方で、タイ映画では「マッハ！エンジェル」シリーズもある。美女が肌も露わにアクションを披露すれば、ストーリーなど二の次という作り手側の安易な発想が根底にあるように思われるが、見る側の男性も同じで、レンタルビデオ時代はそれで多くの二流、三流作品が流通していた。

　この作品のジャケットを見たときに、その当時のことを思い出したが、それでも見ずにいられないのが男性アジア映画ファンの性。半ばハズレを覚悟し、他の大作を差し置いて購入してしまった。ところが、映画界も伊達に年月を経てはいない。安易な発想が根底にあったとしても、香港映画のレベルは格段に上がっていた。前半の訓練所でのシーンはきちんと人間的な成長ドラマになっているし、後半の「大統領」の逮捕劇もドラマをうまく盛り込みながら、単なるお色気アクションに終わってはいない。最初からハードルを低めに設定していたせいか、意外にも満足の１本となった。もっとも、一般の方にオススメできるかというと、それはまた別の話である。

作品データ
監督：ウィルソン・チン　出演：エリザ・サム、ジョイス・チャン、ジョアナ・ホー他
製作年：2016年　製作国：香港