日本ではしばらく製作が中断されていた「ゴジラ」シリーズを12年ぶりに「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明が監督。2016年8月に公開されると年末までロングラン上映され、興行収入80億円を超える大ヒットとなった。
羽田沖に突如水蒸気が噴出し、東京湾アクアラインでも崩落事故が起きる。内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)は巨大生物によるものと判断するが、政府は海底火山の噴火によるものとして対応を進める。その後、巨大生物は多摩川河口から蒲田に上陸し、形状を変化させながら都心へと向かう。ゴジラと命名された巨大生物を駆除するために大河内首相(大杉漣)は自衛隊出動を決断するが、火器による攻撃は通用せず、しかもゴジラが放射線を発していることが明らかになる。一方、アメリカは大統領特使としてカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)を日本に送り込むとともに国連安保理を動かし、ゴジラへの熱核攻撃を決議させる。
第90回キネマ旬報ベスト10の第2位にも選ばれた2016年の日本映画を代表する大ヒット作であり、いまさら素人の私があれこれ語るまでもないが、確かによく出来た面白い作品だった。何より感心したのは、庵野秀明の作家性がはっきり表れていること以上に、日本人にしか作れないゴジラ映画になっていることである。もちろん、1998年と2014年のハリウッド版ゴジラも面白かったが、ゴジラの造型や背景にある思想など、どうしてもしっかりこないところがあった。しかし、いくらオリジナリティを出そうとしても、私より5歳上の(奇遇にも誕生日が同じ)庵野秀明は、ゴジラとともに育っており、良くも悪くも日本人みんなが知っている「本物」のゴジラを描くことしかできないのだ。伊福部昭の音楽の使い方も含めて、特に日本人にとっては堪らないゴジラ映画となった。
作品データ
監督:庵野秀明、樋口真嗣 出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ他
製作年:2016年 製作国:アメリカ
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