「フライト・ゲーム」などリーアム・ニーソンを主演にしたアクション映画を多く手がけているスペイン出身のジャウムマ・コレット=セラ監督によるスリラー映画。人食いザメを取り上げた作品としては「JAWS」以来の傑作という評価もある。
病気で母親を亡くし、医師となる目標を見失った医学生のナンシー(ブレイク・ライブリー)は、亡き母がかつて訪れたビーチを訪れる。人里離れたビーチは、まさにこの世の楽園といった美しさであった。一人サーフィンに興じていたナンシーだったが、一匹のサメに襲われ、左脚に裂傷を負ってしまう。命からがら岩礁に逃れたナンシーは、助かる方法を必死に探す。
文字通りブレイク・ライブリーの「独り舞台」といっていいこの作品。主演である彼女の力量が作品の出来を左右する。しかも、場面は海の上だけなのだが、限定された登場人物と空間、時間を活かして86分に巧くまとめた監督の手腕はなかなかのもの。ストーリーは単純だし、新たなアイディアが盛り込まれているわけでもない。しかし、全てのバランスが絶妙だったことで、これまでの似たような作品とはひと味違った印象を残す。
ブレイク・ライブリーはTVシリーズ「ゴシップガール」で人気女優となり、「グリーン・ランタン」のヒロインなども務めているが、単純に美人だとか可愛いとかいうタイプではなく、これまでは年齢の割に老けた印象が強かったような気がする。しかし、この作品では、彼女の表情の豊かさや、29歳というそれなりの年齢が、いい方向に作用している。恐怖にパニックになりながらも、必死にサバイバルしようと自分の持っている知識を総動員するヒロイン像にぴったりはまり、単なる美人女優やアイドル女優では説得力が出ない場面も、彼女が演じているからこそ感情移入できた。全編にわたって水着姿で出ているせいか、これまでの役より若々しく見え、新たなブレイク・ライブリーの魅力と可能性を感じることができた。
作品データ
監督:ジャウマ・コレット=セラ 出演:ブレイク・ライブリー、オスカル・ハエナダ他
製作年:2016年 製作国:アメリカ
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