異星人による人類滅亡を目的とした5つの波(フィフス・ウェイブ)に立ち向かう若者たちの姿を描いた、クロエ・グレース・モレッツ主演のSF映画。原作はリック・ヤンシーの同名小説である。
突如、世界中に謎の飛行物体「アザーズ」が飛来する。「アザーズ」は、まず電磁パルスによって地上の全ての電子機器を使用不能にしてしまう(第1波)。次に海や湖が津波となって都市に押し寄せ(第2波)、さらに変異した鳥インフルエンザの大流行によって人類は壊滅的な被害を受ける(第3波)。そしてついに「アザーズ」は人間に寄生し、直接攻撃を開始する(第4波)。「アザーズ」の攻撃によって両親を失った女子高生のキャシー(クロエ・グレース・モレッツ)は、他の子どもたちとともに米軍基地に収容された幼い弟のサム(ザカリー・アーサー)を追って基地に向かうが、基地に収容された子どもたちは「アザーズ」の第5波に対抗すべく軍事訓練を受けていた。
「キック・アス」以来、クロエ・グレース・モレッツのファンになり、彼女の主演作はできるだけ見るようにしている。しかし、「キャリー」はともかく、「イコライザー」の娼婦役や「イフ・アイ・ステイ」の少し背伸びをした役を見ていると、日本でいう「子役は大成しない」という言葉が彼女にも当てはまるのではないかと危惧するようになってきた。そして今回は異星人と戦う女子高生役。19歳という年齢には釣り合っているが、正直言ってマシンガンを片手に山野を走り回る役はしっくりこなかった。ジェニファー・ローレンスならともかく、彼女にタフな女性を演じさせる意味がわからない。もっとも、この映画の原作はヤングアダルト小説。主人公のキャシーが地球を救うヒロインというわけではなく、弟を救うために仲間たちとともに行動する話で、彼女が直接異星人を倒すわけではない。いかにもタフなヒロインである必要はなかったのだ。
その点に気づくと、クロエ・グレース・モレッツの起用も頷ける。なるほど、これはアメリカ版の「NHK少年ドラマシリーズ」なのだ。「夕ばえ作戦」や「なぞの転校生」と同じく、若者たちをターゲットにした青春SFドラマなのだから、50代のおじさんが共感できなくても仕方がない。まして、ご都合主義のストーリー展開も全く問題はない。若者たちがドキドキわくわくすればいいのだ。しかし、「トワイライト・サーガ」じゃないんだから、好き好んで人間以外と恋に落ちなくても……と思わないでもない。
作品データ
監督:J・ブレイクソン 出演:クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン他
製作年:2016年 製作国:アメリカ
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