伝説の総合格闘家ケイス・ウォーカーが活躍する「マッド・ウォーリアーズ/頂上決戦」(2016年)の前日譚。原題も2008年の「ネバー・バックダウン」の「2」となっているが、1作目は高校生が主人公の格闘アクション映画で、この作品と直接のつながりはなく、マイケル・ジェイ・ホワイトも関わっていない。
元UFC王者で、現在は表舞台から退いている格闘家ケイス(マイケル・ジェイ・ホワイト)のもとに、それぞれ事情を抱えた若者たちが弟子入りしてくる。父との確執を抱えたアマレス州チャンピオンのマイク(ディーン・ガイヤー)、網膜剥離の危機にある元ボクシング王者のザック(アレックス・メラス)、自分を暴行した不良たちへの復讐に燃えるジャスティン(スコッティー・エプスタイン)、真面目に格闘技に打ち込む家族思いのティム(トッド・ダフィー)の4人は、総合格闘技イベント「ビートダウン」への出場を目指して衝突しながらも切磋琢磨し、成長していく。
「マッド・ウォーリアーズ」は「ロッキー」の総合格闘技版という趣だったが、この作品は「ベストキッド」の総合格闘技版(しかも青春群像映画)。マイケル・ジェイ・ホワイト自らが監督を務めていることもあり、総合格闘技のアクション・シーンはなかなか本格的で説得力がある。特にグランド・テクニック(寝技)の教授シーンは丁寧に描写されていて興味深い。しかし、ストーリーにひねりがないために見終わっても物足りなさが残ってしまう。4人の若者たちもキャラクターが中途半端で、きっちり描き分けられていない印象。結局はケイス対「若者4人(後半は3人)」という単純な図式なのだ。彼らを指導するケイスにしても、「マッド・ウォーリアーズ」のケイスに比べると、厳しいのか甘いのかはっきりせず、キャラクターの魅力もいまひとつ。
ストーリー面では、警察沙汰になったトラブルも、「ビートダウン」の試合の中で決着してしまい、「これで終わりにしていいの?」と若干の割り切れなさは残るものの、「マッド・ウォーリアーズ」とセットで見ると意外に楽しめる作品だった。
ちなみにこの作品にはブラジルの総合格闘家リョート・マチダがゲスト出演している(ティム役のトッド・ダフィーも総合格闘家だが)。
作品データ
監督:マイケル・ジェイ・ホワイト 出演:マイケル・ジェイ・ホワイト、ディーン・ガイヤー、アレックス・メラス他
製作年:2011年 製作国:アメリカ
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