アフガニスタンのTV局が制作したオーディション番組「アフガン・スター」を題材にしたアメリカのコメディ映画。「アフガン・スター」については2009年にイギリスのチャンネル4がドキュメンタリー映画を作り、サンダンス映画祭で監督賞と観客賞を受賞しているが、ドキュメンタリー映画がアフガニスタンの厳しい現実を描いていたのに対し、この作品では感動的なラストが待っている。
芸能マネージャーのリッチー(ビル・マーレイ)は、所属歌手のロニー(ゾーイ・デシャネル)を連れてカブールで行われる米軍慰問コンサートに参加する。ところが、ロニーに金やパスポートを持ち逃げされ、金を稼ぐために武器の闇取引に手を貸すことになる。パシュトン人の村に武器を運んだリッチーは、そこで美しい歌声を持つ少女サリーマ(リーム・リューバニ)に出会う。パシュトン人は非常に保守的で、女性が人前で歌を歌うことはイスラムの教えに反することだと考えていたが、リッチーは彼女をオーディション番組の「アフガン・スター」に出演させようと、傭兵のボンベイ(ブルース・ウィリス)や売春婦のマーシー(ケイト・ハドソン)の助けを借りて彼女を村から連れ出してしまう。
「ゴースト・バスターズ」以来のビル・マーレイのファンである。彼を好きになった最大の理由は、彼が私の大学の指導教官に似ているからだった。大学の指導教官には卒論の指導をしていただいただけではなく、映画やミステリ小説の面白さも教えていただいた。その後、私は別な大学の大学院に進んだが、恩師といえるのは大学の指導教官だけであり、結婚するときは仲人もお願いした。いまではメールやハガキのやりとりだけで実際にお会いすることもなく少なくなったが、ビル・マーレイの作品を見るたびに恩師のことを思い出す。
今年に入ってからも「ゾンビランド」「ミケランジェロ・プロジェクト」などで年齢を重ねたビル・マーレイを見ているが、今回のリッチー役は終始くたびれた老人なのだ。実年齢は60代半ばなのでメイク次第ではもっと精力的に演じることもできたのだろうが、この脱力したビル・マーレイが非常にいい。主役なのに出過ぎていないのでブルース・ウィリスやケイト・ハドソンらの脇役が活きるし、リーム・リューバニの若さが際立つ。ストーリーは甘っちょろいともいえるが、ビル・マーレイの演技同様に押しつけがましくなく、「いいなあ~」という爽やかな感動を味わうことができた。
作品データ
監督:バリー・レヴィンソン 出演:ビル・マーレイ、ブルース・ウィリス、ケイト・ハドソン他
製作年:2015年 製作国:アメリカ
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