ドニー・イェン主演のSFアクション映画。アクション映画ではあるが、雪崩によって氷漬けになった明朝の錦衣衛が現代に蘇って活躍するという、「テラコッタ・ウォリア」にも似た設定で、時代錯誤のコメディの要素もふんだんに盛り込まれている。
錦衣衛のホー・イン(ドニー・イェン)は、勅命により天竺から「時空の金球」を持ち帰る途中、謀反の疑いをかけられ、逃げる途中で雪崩に巻き込まれる。400年後の香港で、交通事故により冷凍カプセルから蘇ったホー・インは、同じく蘇った錦衣衛のサッ・ゴウ(ワン・バオチャン)やニッ・フー(ユー・カン)に裏切り者として再び追われながらも、元の時代に戻るために「時空の金球」を探し始める。一方、香港警察副署長のチョン(サイモン・ヤム)も彼ら錦衣衛の行方を追うために警察を総動員する。
「カンフー・ジャングル」で見事な闘いを見せたドニー・イェンとワン・バオチャンの初共演作。この作品での共演が縁で「カンフー・ジャングル」での起用につながったらしい。しかし、ワン・バオチャン(闘う水道橋博士)の格闘シーンは控えめで、少林寺で修行した片鱗は見せているものの、どちらかというとコメディ俳優として存在感を見せている。ヒロインは「白蛇伝説」のホアン・シェンイーだが、今回は現代的な女性の役。白蛇の精のような楚楚とした美しさとはまた違った魅力を見せている。
一種のタイム・スリップ物なので、400年の時代の移り変わりに戸惑う錦衣衛を面白おかしく描くコメディ映画でもある。個人的には「宇宙最強」のドニー・イェンのシリアスな演技を見たいのだが、彼自身はコメディも好きらしい。喜々として現代に迷い込んだ錦衣衛を演じている。「テラコッタ・ウォリア」でもチャン・イーモウとコン・リーのやりとりは楽しかったが、この作品では現代の国際都市香港が舞台であるだけにインド料理やタブレットも登場。いかにも香港映画らしい楽しいハイブリッド映画になっている。
果たして結末はどうなるのだろうとワクワクしながら見ていると、最後は「To Be Continued」だった。パッケージにはどこにも「前編」という表示はない。公開の際に前後編になったようなのだが、後編が公開されたという情報もなく、ハリウッド映画と違うので日本のソフト販売会社も1作目が売れなければ2作目を販売しようとは思うまい。販売会社の「矜持」と「良心」に期待したいが、続編は yesasia から香港版を買うことになるのだろうか。
作品データ
監督:ロー・ウィンチョン 出演:ドニー・イェン、サイモン・ヤム、ホアン・シェンイー他
製作年:2014年 製作国:中国、香港
次はこれ買う!
この記事へのコメント