見事に不愉快 ナイトクローラー

ナイトクローラー NIGHTCRAWLER ☆ 【BD】

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 いち早く事件や事故の現場に駆けつけて撮影したスクープ映像をTV局に売る「ナイトクローラー」を主人公にしたドラマ映画。第87回アカデミー賞では脚本賞にノミネートされた(受賞は「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」)。

 工事現場からフェンスやマンホールを盗んで生活費を稼いでいたルイス(ジェイク・ギレンホール)は、交通事故現場でTVニュースの映像を撮影するフリーランスの「ナイトクローラー」の存在を知る。早速、ビデオカメラと警察無線の受信機を買ったルイスは、カージャックの現場を撮影した映像をローカルTV局に売り込むことに成功する。TV局のディレクターであるニーナ(レネ・ルッソ)は視聴率の取れる刺激的な映像を求め、ルイスはそれに応えようと事件現場に不法侵入し、交通事故の被害者の遺体を動かしてまで高く売れる映像を撮影しようとする。

 前回ブログで取り上げた「それでも夜は明ける」は人種差別を扱った見るのがつらい作品だったが、この作品も見ていて”胸くそが悪くなる”という点でよくできた作品である。ジェイク・ギレンホール演じるルイスが、まさに”ゲスの極み”と言うべき嫌な男なのだ。学歴がない劣等感の裏返しなのか、ネットで学んだビジネス論を振りかざし、一方的に自分の主張を唱えるだけで謙虚さの欠片もない。主人公に対して「早く罰が当たれ!」と思わせる不思議な作品なのだ。人間ならば必ずある多少の苦悩や葛藤を、あえて描かなかったことで最凶最悪のルイスという「ナイトクローラー」を描くことに成功したといっていい。おそらくルイスに少しでも同情したり、感情移入してしまったりするようでは、この作品はつまらなかったはず。ジェイク・ギレンホールは、そのギラギラした目で最初から最後まで一片のためらいも見せずにルイスを演じきっていた。

 ジェイク・ギレンホールに負けず劣らず嫌なキャラクターを演じたのはレネ・ルッソ。彼女には「リーサル・ウェポン」のイメージがあり、セクシーな女性ディレクターを期待したが、彼女が演じたニーナは押しの強いデカいオバサンに過ぎなかった。考えてみれば彼女も還暦を過ぎている。しばらく銀幕から遠ざかっていた時期があったが、自分の居場所をこういうポジションに見つけたのかもしれない。

 とにかく気分の悪い映画だが、面白い作品であることは太鼓判を押せる。

作品データ
監督:ダン・ギルロイ 出演:ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ他
製作年:2013年 製作国:アメリカ


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