デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスンの人気シリーズ「特捜部Q」の第1作『特捜部Q-檻の中の女-』を「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のスタッフが映画化。本国では「デンマーク国民8人に1人が見た!! 記録的ヒット作」だったという。
捜査中に銃撃を受けて瀕死の重傷を負ったコペンハーゲン警察の刑事カール・マーク(ニコライ・リー・コス)は、復職すると過去の未解決事件の資料整理をする「特捜部Q」への配置転換を命ぜられる。厄介者扱いされて腐るカールだったが、5年前にフェリーから忽然と姿を消した女性議員ミレーデ(ソニア・リクター)の失踪事件に目を留め、助手のアサド(ファレス・ファレス)ともに真実に迫っていく。
ここ数年、熱中して読んでいるミステリは「ミレニアム」と「特捜部Q」の2つのシリーズ。いずれも北欧発のミステリでアメリカのミステリ小説とは違った雰囲気が非常に新鮮で面白い。しかも、どちらのシリーズも構成が緻密で、簡単に先を読ませない。「ミレニアム」はスティーグ・ラーソンが亡くなってしまい、「ミレニアム4」がダヴィド・ラーゲルクランツによって再開されるまで、もっぱら「特捜部Q」にはまっていた。その「特捜部Q」が、スウェーデン版「ミレニアム」のスタッフによって映画化されると聞いて期待に胸を膨らませながら見られる日を待っていたのだが、意外に時間がかかってしまった。映画版は本編97分とエピソードをかなり刈り込んでいるが、ミレーデ失踪の背景に関してはわかりやすく描いており、原作を読んでいなくても「なるほど」と納得できる展開になっている。
カールを演じたニコライ・リー・コスはデンマークの俳優で、「天使と悪魔」などのハリウッド映画にも出演しているし、アサドを演じたベイルート生まれのファレス・ファレスも「デンジャラス・ラン」「ゼロ・ダーク・サーティ」などに出演しており、決してローカル俳優などではなく、緊迫感あふれる演技をしている。この作品を見たあとに、2人とも先日見た「チャイルド44」にも出演していたことを知って改めてビックリした。原作のカールとアサドのイメージよりかなりカッコよく描かれており、原作の2人のシニカルさやユーモラスさには欠けるものの、これはこれで納得できた。シリーズが進めば進むほど、映画ならではのこのコンビのよさが出てくるに違いない。
本国での公開から日本で見られるまでに2年ほど待たされたが、早くも映画化2作目の「キジ殺し」が同じキャストで公開されているので、次はそれほど待たずにDVDを見ることができるに違いない。
監督:ミケル・ノガール 出演:ニコライ・リー・コス、ファレス・ファレス他
製作年:2013年 製作国:デンマーク
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