『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』(早川書房) ☆ 【kindle版】
世界的なベストセラーとなったスティーグ・ラーソンのミステリ小説『ミレニアム』の4作目。3部作を読んだのは世間で話題になってだいぶ経ってからだったが、約1ヶ月をかけて楽しんだ。スティーグ・ラーソンは全10部を構想していたとのことだが、2004年に50歳で急逝してしまった。第4部が保存されたパソコンを未亡人が持っているという噂があるものの、著者が亡くなってはもうミカエルやリスベットに会うことはできないと残念に思っていた。
ところが、2015年に同じスウェーデンの作家ダヴィド・ラーゲルクランツが続編を執筆、ミカエルとリスベットに再び会うことができた。原語で読んでも見事にオリジナルを踏襲しているのだろうが、翻訳で読む我々にとっては、幸いなことに翻訳者という助っ人がいたのだ。3部作と変わらない文体で読むことができるので、著者が異なることをほとんど感じさせなかった。後編になって、リスベットの後見人パルムグレンやカミラの養母であるマルガレータが一気に種明かしをしてしまったり、あのリスベットが自分からミカエルの前に姿を現したりと若干違和感を覚える展開はあるものの、ミステリとしては十分に合格点。この4作目も映画化の話があるらしいので、そちらも楽しみである。
著 者:ダヴィド・ラーゲルクランツ
翻 訳:ヘレハルメ美穂、羽根由
価 格:Kindle版 \1,312 単行本 \1,620
出版社:早川書房
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