禁断の結末　宇宙からのツタンカーメン: 案山子庵（かかしあん）　KAKASHI-AN

禁断の結末　宇宙からのツタンカーメン

2016年02月07日

宇宙からのツタンカーメン　TIME WALKER　☆　【ＤＶＤ】

　「日曜洋画劇場」で故淀川長治氏が絶賛（？）したという1982年のＳＦ映画。一部でカルト的な人気を博している作品である。「全裸美女に迫る古代エジプトの魔神」というジャケットの宣伝文句に惹かれて購入してしまった。

　マッカデン教授（ベン・マーフィー）は、ツタンカーメンの墓で発見したミイラをアメリカに持ち帰り、恋人である学生のスージー（ニナ・アクセルロッド）らと大学で調査を始める。Ｘ線写真を撮影しようとして誤って大量のＸ線をミイラに照射してしまう事故のあと、ミイラは忽然と姿を消す。ミイラの行方を追う教授たちだったが、研究員の１人が棺の中から盗み出したクリスタルを持つ学生が次々に襲われる。

　1982年といえば「ブレードランナー」や「Ｅ．Ｔ．」などＳＦ映画の金字塔となる作品が公開された年だが、同じ年にこのような胡散臭い作品が公開されている。テレビ東京の「２時のロードショー」で見るような突っ込みどころ満載の作品ながら、意外に惹きつけられた。1960年代っぽいゆったりとしたテンポが逆に展開を読みづらくさせているのだ。もっとも、邦題そのものがネタバレなので、あれこれ考えさせた割には予想通りに物語は進む。それでも、夜空を見上げるミイラには「Ｅ．Ｔ．」にも通じるもの悲しさも感じられ、味わい深い。そして、「to be continued」となる結末はこれこそがカルト的な人気を博した最大の原因であるものの、明らかな反則である。さらにいえば「全裸美女」はどこにも出てこない。

作品データ
監督：トム・ケネディ　出演：ベン・マーフィー、ニナ・アクセルロッド他
製作年：1982年　製作国：アメリカ