爽やかな感動　ゾンビブライド: 案山子庵（かかしあん）　KAKASHI-AN

爽やかな感動　ゾンビブライド

2016年01月31日

ゾンビブライド　ZOMBIE BRIDE　【Amazonビデオ】

　Amazonのプライム会員にとって、プライム・ビデオやプライム・ミュージックは非常にありがたい。２時間を超える作品を見る体力がなかったので、プラム・ビデオを漁り、Amazonビデオを漁り、この作品にたどり着いた。ＡＶ女優のみづなれいが主演の亜流ゾンビ映画となれば暇つぶしにはもってこい。

　不倫相手の上司・吉岡に絞殺された愛里（みづなれい）は、朝目覚めるとゾンビになっていた。愛里は吉岡の自宅を訪ねたが、そこにはゾンビとなった吉岡の妻がおり、彼の姿はない。途方に暮れて街をさまよう愛里の前に、３年前にゾンビとなりながらゾンビ相手のスナックを経営するようこ（里美瑤子）が現れる。彼女からゾンビとして前向きに生きていくことを教えられた愛里は、スナックの常連客・前川（なかみつせいじ）とともに「ハンティング」に出かける。

　陳腐な特殊メイクに加え、中途半端なエログロでお茶を濁す低予算ムービーかと思いきや、意外なことにしっかりドラマが作られていた。ゾンビになってしまうという絶望的な状況を乗り越えて前進していく主人公の愛里を、みづなれいが予想以上に好演しており、見終わって爽やかな気持ちになったほど。それにしても、これほどみづなれいに演技力があるとは思わなかった。たまたまキャラクターがぴったり合ったのかもしれないが、他のＡＶ女優と比べると彼女のモノローグには説得力があった。しかし、彼女を出演させる以上裸が避けて通れないとはいえ、必然性がなかったのは残念。もう少し彼女の魅力を活かすシーンがあってもよかったような気がする。

　ゾンビ映画として売ろうと思うためか、「婚活系サバイバル・ゾンビ・アクション」とか「壮絶復讐劇」「腐ったﾔﾂは叩きのめす！」など内容とかけ離れた宣伝文句があるのは、この作品のよさを否定するようでもったいない。

作品データ
監督：山内大輔　出演：みづなれい、倖田李梨、竹本泰志他
製作年：2013年　製作国：日本