ダニエル・クレイグが4度目のジェームズ・ボンドを演じた007シリーズの24作目。監督は「スカイ・フォール」に続いてサム・メンデスが務めている。ダニエル・クレイグがボンドを演じるのはこれが最後とも言われており、この作品で見納めになるかもしれない。
自身の過去の謎を解明するためにメキシコ、ローマとたどったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、爆破テロを企てた犯罪者スキアラの未亡人ルキア(モニカ・ベルッチ)と出会い、悪の組織スペクターの存在を知る。ボンドはスペクターの秘密を知るマドレーヌ(レア・セドゥ)とともに、その企みを阻止しようと北アフリカの砂漠にあるスペクターの本部に向かう。
今回、ひさしぶりに劇場のスクリーンで映画を鑑賞。たまたまスケジュールの合う作品が「スペクター」だったのだが、ダニエル・クレイグのこれまでの作品は全てDVDかBDで揃えているので、劇場で見ることには若干のためらいがあった。しかし、アクション大作は大きなスクリーンで見てこそ面白い。舞台も南米、ヨーロッパ、アフリカとスケールもでかく、ギミックも豊富で、本編自体の長さもこれまで以上にボリュームがあり、BDの購入もためらうことはなさそうだ(ただし、廉価版になってからだが)。
ロジャー・ムーアのジェームズ・ボンドから入った私にとって、ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドは「英国紳士」のイメージから少し外れるところがあったが、彼の荒々しくゴツゴツしたボンドはシリーズに新たな魅力を感じさせた。今回も身体を張ったアクションがたっぷりで、しかもボンドの過去に関するドラマの部分もいい味付けになっていた。
また、ボンドガールを演じたレア・セドゥは、多くの点でこれまでの慣例を破っているような気がする。かつてのボンドガールと言えば、日本人が憧れる西洋美人のイメージそのもので、金髪のグラマーと相場は決まっていた。最近ではハル・ベリーやミシェール・ヨーなど白人だけではないものの、この作品でもモニカ・ベルッチが最後までボンドの相手役を務めるのかと勘違いしてしまった。レア・セドゥは「ゴースト・プロトコル」でスパイ映画に出ており、「アデル、ブルーは熱い色」で既に高い評価も得た俳優である。そして、何よりこれまでのボンドガールと違うのは、基本的に「目が細い」こと。それでも彼女が起用されたのは、彼女にしか出せない魅力があるからなのだろう。なるほど、最初はぱっとしないと感じていたのに、最後にはとても魅力的に見えてきた。個人的には「ロシアから愛をこめて」のダニエラ・ビアンキに匹敵するボンドガールのベストと言えるかもしれない。
作品データ
監督:サム・メンデス 出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ他
製作年2015年 製作国:イギリス
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