2015年のリブート版「ファンタスティック・フォー」のジョシュ・トランク監督の長編デビュー作。疑似ドキュメンタリーのスタイルをとったSF映画である。
シアトルの高校生アンドリュー(デイン・ハーン)は、内向的でビデオカメラを通してしか世界と関わることができない。従兄弟のマット(アレックス・ラッセル)に誘われて参加したパーティ会場の近くの空き地で、アンドリューとマット、同級生のスティーヴ(マイケル・B・ジョーダン)は、不思議な体験をする。それ以降、彼らは物体を自由に動かすことのできる超能力を手に入れるが、アンドリューは自分の力を制御することができず破滅へと向かっていく。
アメリカのTVシリーズにありがちな青春物のSFだが、物語はアンドリューの撮影するビデオカメラやその他のカメラの映像を通して語られる。この手法そのものも最近ではありきたりだが、超能力を手に入れたアンドリューがカメラを念力で動かしながら自分自身を撮ったり、ブロガーの同級生ケイシーのカメラや監視カメラの映像が使われたり、様々な視点から描写できるように工夫が加えられている。また、VFXがチープなところもいい。超能力によって彼らが自分自身を空中に浮かべて雲の上を飛び回るシーンは、まるで「恐怖映像」の投稿動画などに出てくるフライング・ヒューマノイドを見ているかのよう。フェイク動画の原点を見る思いがした。
キャストはいずれも売り出し中の若手俳優。デイン・デハーンは「アメイジング・スパイダーマン2」、アレックス・ラッセルは「キャリー」で脇役を務めている。スティーブを演じたマイケル・B・ジョーダンは、同じジョシュ・トランク監督の「ファンタスティック・フォー」ではヒューマン・トーチを演じ、さらに今年公開された「クリード チャンプを継ぐ男」でクリードを演じるなど頭一つ抜け出した感があるが、これから大物になっていくかもしれない彼らの記念すべき主演デビュー作となる佳作B級映画である。
作品データ
監督:ジョシュ・トランク 出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル他
製作年:2012年 製作国:アメリカ
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