デニス・ルヘインのミステリ小説『シャッター・アイランド』をマーティン・スコセッシがレオナルド・ディカプリオを主演に映画化。「衝撃のラスト」は誰にも話さないでくださいというような宣伝をしていたような気がする。
孤島に置かれた犯罪者を収容する精神病院から1人の女性が姿を消し、FBIのテディ(レオナルド・ディカプリオ)とチャック(マーク・ラファロ)が捜査のために島を訪れる。大戦中のドイツの強制収容所で惨劇を目の当たりにし、復員してからも妻子を失ったトラウマを抱えるテディは、幻覚に苦しめられながら取り調べを進めるうち、島でロボトミー手術が行われている疑いが浮上する。
この作品でも、毎度お馴染みのディカプリオに会うことができた。「タイタニック」のイメージを払拭しようとしたのかは定かではないが。童顔のディカプリオは好んで男っぽい、大人っぽい役を演じ続けてきたような気がする。いくら髭を生やしてみても、やさぐれてみても、ディカプリオはディカプリオでしかない。いつの間にかスクリーンの中で見るディカプリオは、いつも眉間にしわを寄せるようになっていた。考えようによっては、常に薄ら笑いを浮かべていい男ぶっているトム・クルーズ同様の金太郎飴である。もっとも、ディカプリオにしても、トム・クルーズにしても、そこがよくて何作も見ているのかもしれない。
「衝撃のラスト」については、ラストに至る前に種明かしがされてしまい、そのまま終わってしまったのが残念。ふつうなら2度目のどんでん返しがあるのだろうが、そこは原作に忠実だったのだろう。ミステリ映画のファンにとっては既視感のある結末だったが、そこに至るまでのディカプリオの熱演があったのでヨシとする。ミステリ映画としては奇をてらわずに正攻法だったと評価できる。
作品データ
監督:マーティン・スコセッシ 出演:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ他
製作年:2010年 製作国:アメリカ
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