「ロッキー4」のドルフ・ラングレンが主演と製作を兼ね、「マッハ!」のトニー・ジャーを招いて作られたアクション映画。この2人が主演と聞くとB級っぽさは半端ないが、先入観を覆すなかなかの出来。トニー・ジャーは「ワイルド・スピード SKY MISSION」にもチョイ役で出るなど世界進出を果たしつつあるが、これまでの作品以上に広く一般に受け入れられる作品になりそうだ。
ニュージャージーの刑事ニック(ドルフ・ラングレン)は、激しい銃撃戦の末に人身売買組織のボス、ドラゴビッチ(ロン・パールマン)を逮捕する。しかし、外交圧力によって彼は釈放され、ニックの妻子は組織の報復によって殺されてしまう。ニックも重傷を負うが、妻子の恨みを晴らすためにドラゴビッチを追って単身タイに入国する。タイ警察のトニー(トニー・ジャー)は、FBIと協力してニックを追うが、人身売買組織を叩くという共通の目的を持った2人は少しずつ近づいていく。
ドルフ・ラングレンの個人的な趣味で作られた作品かと思ったが、監督は「ビューティフル・ボーイ」のエカチャイ・ウアクロンタム、共演にはピーター・ウェラーやロン・パールマンを迎えるなど、けっこう力が入っている。しかも、ドルフ・ラングレンは自分のポジションがわかっているのか、出しゃばることなくトニー・ジャーのいいところを引き出している。「マッハ!」や「トム・ヤム・クン」では、タイ東北部出身の田舎者キャラで垢抜けなかったトニー・ジャーも、この作品では笑いの要素を完全に取り除いてアクションに専念。彼の身体能力からすればもっとアクションの部分で魅せることもできたはずだが、全体のバランスからすればこのくらいがちょうどいい。違和感をおぼえずに楽しめるという点では、トニー・ジャーの出演作の中では一番一般ウケしそうだ(ただし、トニー・ジャー絡みのラブ・ストーリーだけは違和感)。
ストーリーも単純なものだが、人身売買という社会的なテーマも盛り込んで、考えさせられる部分もある。ついでに言うと、ケイリー=ヒロユキ・タガワが出ていたのも嬉しかった。
作品データ
監督:エカチャイ・ウアクロンタム 出演:ドルフ・ラングレン、トニー・ジャー他
製作年2014年 製作国:アメリカ、タイ
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