BiRDMAN or (THE UNEXPECTED ViRTUE OF iGNORANCE) ☆ 【BD】
2015年の第87回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞を受賞した話題作。かつて「バットマン」シリーズでヒーローを演じたマイケル・キートンが、作品の中ではヒーロー映画で一世を風靡し、現在は落ちぶれた俳優リーガンを演じている。
リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、かつて「バードマン」というヒーロー映画で主演を務めたスターだったが、その後はヒット作に恵まれず、落ちぶれた生活を送っていた。ブロードウェイの芝居で成功を収め、表舞台に返り咲こうと考えたリーガンは、友人の弁護士ジェイク(ザック・ガリフィアナキス)の協力を得て、ブロードウェイの有名俳優マイク(エドワード・ノートン)や女優のレズリー(ナオミ・ワッツ)らとともにリハーサルに入る。しかし、リハーサルはリーガンの思うようには進まず、プレビュー公演も批評家から酷評され、リーガンの苦悩は深まる。
見ている最中はそれほど面白いとも思わないのだが、見終わったあとにジワジワと面白さがわき出してくるような作品だった。意外に淡々と進んでいく出来事も、決して単調さは感じさせず、(身を乗り出すほどではないものの)独特の雰囲気の中に引き込まれていく。監督は「バベル」のアレハンドロ・G・イニャリトゥだが、親切とはいえない展開に惹きつけていく力はなかなかのもの。一方で、全編が1カットで撮られたのではないかと話題になった長回し映像は、それほど気にならなかった。言われてみれはそうなのだが、違和感がなかったのは作品世界に引きずり込まれたからなのかもしれない。個人的には映像よりも、アントニオ・サンチェズが奏でるドラムによるBGMの方が印象深かった。
アカデミー賞の条件の一つにはアカデミー会員の「共感」というものが大きいような気がする。その意味では2012年の「アーティスト」もそうだが、この「バードマン」も(皮肉交じりではあるものの)映画界の「良心」が描かれており、作品賞受賞も必然といえるのかもしれない。
作品データ
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ 出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス他
製作年2014年 製作国:アメリカ
この記事へのコメント