「別冊文藝春秋」に連載されていた辻村深月の同名小説を、山梨放送開局60周年記念として映画化した作品。
高校卒業から10年、クラスの中心人物だった高間響子(水川あさみ)は、地元で地方局のアナウンサーとして働いている。一方、響子と仲のよかった鈴原今日子(木村文乃)は、東京に出て人気女優キョウコとして活躍している。東京で高校のクラス会が開かれることになり、それぞれが高校時代に抱えていた複雑な感情を思い出していく。
原作を読んでいないので比較はできないが、多くの登場人物に焦点が当たる小説とは構成が違うらしい。映画では、クラスの中心人物だったにもかかわらず地方局のアナウンサーでくすぶっている高間響子と、上京して有名女優となったキョウコの2人を中心に物語が進む。女子高校生にありがちな人間関係界のもつれと、過去の人間関係を引きずったその後の級友たちの姿が描かれ、テーマは割とすっきりしている。普遍的なテーマと言えなくもないが、地方の高校にありがちな同級生の関係を描いているだけのようにも感じられ、それほど心を動かされることはなかった。しかし、高校時代の回想シーンは常に怖い。一見、秩序が成立しているように見えるクラスの人間関係も、第三者の目から見ると非常にもろいものであって、いつひっくり返るかわからないのだ。男女に関わらず中高生などの発達段階にはよくあることなのだろうが、特に女子高生は怖いと改めて感じさせられた。
作品データ
監督:矢崎仁司 出演:水川あさみ、木村文乃他
製作年:2014年 製作国:アメリカ
この記事へのコメント