ショートムービーがベスト? 東京無国籍少女

東京無国籍少女 ☆ 【DVD】

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 「ヨコハマハードボイルドアクションムービーコンペティション2012」で押井守審査員特別賞を受賞した山岸謙太郎のショートムービーを押井守が劇場版としてリメイクした作品。

 美術学校でデッサンに励む藍(清野菜名)は、将来を期待される才能の持ち主だったが、事故によってPTSDとなり、殻に閉じこもってしまった。それでも彼女は学校から特別扱いされ、それを不満に思う担任教師や級友たちから嫌がらせを受けている。不安定な精神を抱えながら巨大オブジェを創り続ける藍の周辺では、頻繁に地震が発生し、空には謎の爆音が響き、現実が少しずつ狂い始めていく。

 「TOKYO TRIBE」でアクション俳優の片鱗を見せた清野菜名の本格的アクション映画と聞いて期待に胸をふくらませて鑑賞。作品そのものは独特の世界を創り上げているものの、物語として面白いかと言われれば微妙だった。宣伝文句の「驚愕のラスト15分」には嘘偽りなく見る価値はあるが、そこに至るまでが思わせぶりで、それでいて単調なのだ。オリジナルの山岸謙太郎のショートムービーは約20分の作品なので、それを4倍に引き延ばすことに無理があったのかもしれない。

 清野菜名のアクションは合格点。本格的にアクションを学んでいただけのことはある。まだ21歳なので女子学生役も無理なわけではないが、雰囲気が大人っぽいので、オリジナルの「学園生活と戦争」というコンセプトにこだわらず、まったく異なる設定にした方が彼女の魅力が活かせたような気がする。

 この作品が評価できる点がもう一つ。邦画には珍しく台詞が聞き取りやすいのだ。発声の問題なのか、音圧の関係か、邦画の場合はかなり音量を高くしないと台詞がはっきりと聞き取れないことが多い。しかし、この作品ではささやくような台詞もはっきり聞き取ることができ、その点ではストレスを感じなかった。

 この1ヶ月、何本か映画は見ていたが、何だかんだでブログを更新することができなかった。しかし、この「東京無国籍少女」を見て、再び執筆意欲がわき始めた。やっぱり私は、単純でわかりやすい作品よりも、少しわけのわからない作品の方が好きらしい。

作品データ
監督:押井守 出演:清野菜名、金子ノブアキ、本田博太郎他
製作年:2015年 製作国:日本


東京無国籍少女 [DVD]
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
2015-11-11

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