スティーブン・キングの短編集『スケルトン・クルー』の中の「Gramma」を「Mercy」のタイトルで映画化したものだが、邦題はおどろおどろしく「血の儀式」となっている。
少年ジョージ(チャンドラー・リッグス)は、母や兄とともに施設に入っていた高齢の祖母マーシーを引き取り、古びた田舎の家で暮らすことになる。ジョージにとっては唯一の親友でもあり、大好きな祖母だったが、彼女は心の中に闇を抱えていた。祖母の世話を懸命にするジョージたちに邪悪な何者かの影が迫る。
スティーブン・キングの小説は『ペット・セメタリー』など数作しか読んでいないが、映画化やTVドラマ化された作品はけっこう見ているような気がする。それらの作品に共通するのは、説明しているようで説明不足の何ともいえない読後感ならぬ鑑賞後感。ホラー作品を理屈で片付けてしまっては何とも興ざめなので、どうしても割り切れなさの残った結末になってしまうのだ。この作品も、怖がらせることは怖がらせるのだが、何が恐ろしいのかがよくわからない。祖母マーシーの過去はわかったが、果たして邪悪な存在は何を求めていたのだろうか。
スティーブン・キングらしさというよりも、いかにも「スティーブン・キングの原作を映画化しました」という雰囲気にあふれた作品。何よりすばらしいのは本編79分という絶妙な作品の長さである。
作品データ
監督:ピーター・コーンウェル 出演:チャンドラー・リッグス、マーク・デュプラス他
製作年:2014年 製作国:アメリカ
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