「マッハ!」シリーズなどでアクション監督を務めたパンナー・リットグライの遺作となった2014年のタイのアクション映画。主演は「七人のマッハ!!!!」でも主演を務め、「マッハ!弐」ではトニー・ジャーの敵役も務めているダン・チューポン。トニー・ジャーに比べて5歳ほど若く、風貌もクセがない。少なくとも「第2のトニー・ジャー」という意味ではマイク・Bよりもふさわしい。
幼い頃に両親を亡くしたジー(ダン・チューポン)とタン(ナンタウティ・ブンラップサップ)は、叔父に引き取られて暮らしていた。潜入捜査官だった両親が身内の裏切りによって殺されたことを知ったジーは、叔父のもとを離れて両親の仲間の組織で暗殺者として腕を磨く。有力者の娘の誘拐事件に関わり、謎の組織から追われる立場となったジーは、タンと力を合わせて娘を守りながら謎の組織と戦う。
格闘とサッカーを融合したアクションから始まるオープニングは、既視感こそあるものの、それなりに期待感が高まる。両親が潜入捜査官で犯罪組織に殺されたとわかるくだりもタイ映画にしてはスムーズ。ゾウを助けるために命をかける「トム・ヤム・クン」よりもはるかに物語に入りやすい。また、トニー・ジャーのアクション映画はヒロイン不在だが、この作品にはかわいいヒロインも登場する。最後になっても陰謀の黒幕が姿を現さず何も解決しないことが映画として致命的とはいえ、この作品がタイ映画であることと、前後編ある作品の前編であると無理やり思い込むことで満足することにした。
ダン・チューポンのアクションは折り紙付きだが、それ以上にタン役のナンタウティ・ブンラップサップのアクションにもびっくり。ダン・チューポンと比べても遜色がなかった。脇役では「マッハ!エンジェル」のゲーサリン・エータワッタクンは敵の女暗殺者として出てきてダン・チューポンと派手にやり合った(バリッとしたメイクはフィギュアの荒川静香のようだった)。他にも「チョコレート・ソルジャー」や「ドラゴン・ウルフ」のカズ=パトリック・タンが犯罪組織のリーダー役で出ていたのは嬉しかったが、あくまでも端役なので(彼にしては持った方だが)物語の後半で姿を消してしまった。
作品データ
監督:パンナー・リットグライ 出演:ダン・チューポン、ナンタウティ・ブンラップサップ他
製作年:2014年 製作国:タイ
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