80年代ポップスが懐かしい アメリカン・サイコ

アメリカン・サイコ AMERICAN PSYCHO 【iTunes】

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 1991年のブレット・イーストン・エリスの『アメリカン・サイコ』を原作に、2000年にメアリー・ハロン監督によって映画化された。猟奇殺人を繰り返す若いエリートを「ダークナイト」のクリスチャン・ベールが演じているが、彼は私生活でもカッとしやすい性格らしく、なかなかのはまり役だった。

 80年代のニューヨーク、パトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)は、27歳の若さながら一流企業の副社長でアッパーウエストサイドの高級マンションに住んでいる。同僚も彼と同じく高学歴のエリートで、流行の高級レストランに集い、名刺のデザインなどを比べ合う。ある日、魅力的な同僚ポール・アレン(ジャレッド・レト)が彼らの前に現れ、ベイトマンは嫉妬心から彼を自分のマンションに誘い、殺害してしまう。

 クリスチャン・ベールの緻密に計算された怪演は見事。個人的には猟奇殺人鬼としては美男よりも美女の方が萌えるのだが、キャラクターがぶれることなく、破滅へと突っ走っていくベイトマンは爽快といってもいいくらい。日本でも80年代はバブル全盛期、犯罪は犯さなくても常軌を逸した振る舞いはあちこちで見られたような気がする。過去のそういう風潮を懐かしみつつも辛辣に描いており、アジア映画の猟奇殺人物と違って、カラッとした空気感も特徴。

 残虐描写よりも印象に残ったのは、ベイトマンが殺人を犯す直前、部屋に当時流行のポップスを流し、殺されることに気づかない相手に音楽論を語る場面。MTVや「ベストヒットUSA」を欠かさず見てレンタルCDでヒット曲集を編集した私たちの世代にはこの音楽もグッとくるが、さらに彼の語っている音楽論が気恥ずかしい。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、フィル・コリンズ(ジェネシス)、ホイットニー・ヒューストンなど、誰もが飛びつき、誰もが語ったアーティストや作品を、とうとうと語るベイトマンは、私たち同様に浅はかとしか言いようがない。彼が映画の中でかけていたCDを全て持っている私にはかなりイタい場面だった。

作品データ
監督:メアリー・ハロン 出演:クリスチャン・ベール、ウィレム・デフォー他
製作年:2000年 製作国:アメリカ





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