賭城風雲/FROM VEGAS TO MACAU/賭神4 ☆ 【BD】
チョウ・ユンファの主演で大ヒットした「ゴッド・ギャンブラー」シリーズの最新作。「ゴッド・ギャンブラー」でもチョウ・ユンファをアンディ・ラウがサポートする形で、若手俳優とタッグを組んでいるが、今回はニコラス・ツェーがユンファの相棒となり、チャップマン・トーがコメディ部門を一手に引き受けている。
ラスベガスでセキュリティー顧問をしていた伝説のギャンブラー・ケン(チョウ・ユンファ)がマカオに帰ってくる。ケンの誕生パーティに招待された旧友ベンツ(ホイ・シウホン)と息子のクール(ニコラス・ツェー)、甥のカール(チャップマン・トー)は、ケンの娘レインボー(キミー・トン)と知り合う。ところが、クールがレインボーにプレゼントしたクマのぬいぐるみには、犯罪組織のマネー・ロンダリングを暴く証拠が隠されていた。
監督のバリー・ウォンはチョウ・ユンファ主演の「ゴッド・ギャンブラー」と「ゴッド・ギャンブラー完結編」以外にも、アンディ・ラウ主演の「ゴッド・ギャンブラーⅡ」やチャウ・シンチー主演の「ゴッド・ギャンブラー3」も監督しており、彼とチョウ・ユンファが組んだとなれば正々堂々と94年の「完結編」のその後を描いてもいいようなものだが、さすがに20年も経って遠慮したのか、登場するのは賭神のコウではない。この作品のチョウ・ユンファの役名はケン。賭神のコウでないことは残念だが、実はケンという名前もチョウ・ユンファのファンにとっては嬉しい名前なのだ。そう、「男たちの挽歌Ⅱ」で出てくるマークの双子の弟ケンである。バリー・ウォンの作品をそこまで深読みする必要もないのだが、これはこれで楽しい妄想。それに最後の最後には嬉しいサプライズも用意されている。やはりバリー・ウォンは「完結編」のその後を描きたかったのではないのだ。
さて、肝心のこの作品、さすがは数々のおバカ映画を世に送り出しているバリー・ウォンというべきか。シリアスなストーリーだけでも十分に成り立つ作品を、くだらないギャグ満載で自分にしか作れない作品に仕立て上げている。そして、ハリウッドで十分に成功を収めたチョウ・ユンファが、そのギャグを喜々として演じているのだから恐れ入る。かつての香港映画を知らない人が見れば「くだらない」の一言で見捨てられてしまいそうだが、そのギャグで弛緩させたあとに派手なワイヤー・アクションが待ち構えているのだ。ヒロインはチョウ・ユンファの娘レインボー役を演じたキミー・トンと、組織に潜入する刑事スーザンを演じたアニー・ウー。どちらも日本ではまだ無名だが、キミー・トンは「ラスト・シャンハイ」でもチョウ・ユンファと共演しており、アニー・ウーは「ファイナル・プロジェクト」でジャッキー・チェンと共演している注目株。この作品では存在感がいまひとつとはいえ、全体的なバランスから考えるとちょうどよかったのではないだろうか。
かつての香港映画ファンとチョウ・ユンファのファンにとっては必見の作品だった。
作品データ
監督:バリー・ウォン 出演:チョウ・ユンファ、ニコラス・ツェー他
製作年:2014年 製作国
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