インドでは歴代№1の47億円の興行収入を記録し、アメリカやイギリス、中国でもインド映画としては空前のヒットを記録したアーミル・カーン主演のアクション映画。シカゴで3ヶ月に及ぶロケを敢行し、「リーサル・ウェポン4」のスタント・チームが協力したアクションは本家ハリウッドを凌ぐ迫力だが、インド映画にお馴染みのミュージカル・シーンも忘れてはいない。
サーヒル(アーミル・カーン)の父は、団長を務めるインド・大サーカス団がシカゴ・ウエスタン銀行からの融資を断られ、幼いサーヒルの目の前で自ら命を絶った。成長したサーヒルは、インド・大サーカス団を再興するが、裏ではシカゴ・ウエスタン銀行への復讐を企て、次々と支店を襲っていた。現場に残されたヒンドゥー語のメッセージから犯人はインド系とにらんだシカゴ市警はインドから腕利き刑事ジャイ(アビシェーク・バッチャン)と相棒のアリー(ウダイ・チョプラ)を呼び寄せる。
英題は「DHOOM:3」であり、もともとはアビシェーク・バッチャン演じるジャイが主役のシリーズらしい。ウダイ・チョプラが演じるアリーも1作目で登場し、そのまま相棒に昇格させて人気シリーズとなったようだが、3作目ではあえて国民的スターのアーミル・カーンをフィーチャーして作品をスケール・アップさせている。
主演のアーミル・カーンが2年に及ぶ肉体改造を経て、現役の体操選手のような見事な肉体でサーカス・パフォーマーを演じている。「きっとうまくいく」では学生を演じるためにかなりのダイエットをしたと聞いているが、単に肉体を変えるだけではなく、演技の幅も広い。前半のアーミル・カーンは素の顔以上に目に力が入っていて違和感を覚えたのだが、実はこれも周到な演技プランがあってのことだった。ネタバレになるのでこれ以上はいえないが、彼の演技力があってこそアクションやミュージカルだけでなく、ドラマの面でも見る者を感動させるのだろう。さらに本人が苦手だというダンスも、彼のスタイルに合わせたタップ・ダンスでオープニングからインド映画の世界に引きずり込まれた。身長がそれほど高いわけではないので鍛えた身体はシルベスター・スタローンのようだが、スタローンではあれほど踊れまい。同い年の彼がこれだけのパフォーマンスを見せるのだから私も老け込んではいられないと励まされた。
ヒロインのカトリーナ・カイフについても語らないわけにはいかない。彼女の作品は既に「タイガー伝説のスパイ」や「命ある限り」も見ているが、この作品では彼女が得意とするダンスも十分に堪能できた。インド人女優はグラマーなタイプが多く、どちらかというと私にとっては苦手なタイプなのだが、インド映画は女優の撮り方が巧い。さすがに映画大国だけのことはあり、俳優の見せ方は邦画はもちろん、ハリウッド映画も及ばないのではないだろうか。カトリーナ・カイフが演じたアーリアは、セクシーさをアピールしながらも下品にならず、同時にかわいらしさや気の強さも見せて魅力満開だった。大柄な割に彼女のダンスにはきれがあり、しかも劇中のサーカスのシーンはアーミル・カーン同様にほとんど自分で演じているらしい。
インド映画は本編を見終わってからもミュージカル・チャプターを見る楽しみがあるが、この作品も例外ではない。このブログを書きながら何度も繰り返してミュージカル・チャプターを見ている。私が購入したオリジナル全長版 完全版Blu-ray には サウンド・トラックのCDもついている。最初は余計だと思ったが、しばらくはヘビー・ローテーションだ。
作品データ
監督:ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ 出演:アーミル・カーン、アビシェーク・バッチャン、カトリーナ・カイフ他
製作年:2013年 製作国:インド
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