単なる亜流ゾンビ映画にあらず インド・オブ・ザ・デッド

インド・オブ・ザ・デッド GO GOA GONE ☆ 【DVD】

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インド映画がついにゾンビ映画にも進出。2013年の作品で、サイフ・アリ・カーンがプロデューサーを務め、怪しげなキャラクターで出演もしている。コメディ仕立てではあるが、先行作品をしっかり研究したうえで遊んでおり、リスペクトも感じられる。だてに映画大国ではない、インド映画界の底力を感じさせる作品である。

 失恋したラヴ(ヴィール・ダース)と職場を首になったハルディク(クナール・ケームー)は、気分転換のために親友バニー(アーナンド・ティワーリー)の出張に便乗してビーチリゾートのゴアにやってくる。ホテルのプールで知り合った美女ルナ(プージャー・グプター)に誘われ、離島で行われるロシアン・マフィアのレイヴパーティーに紛れ込んだ3人だが、一夜明けると強力なドラッグによってゾンビと化した参加者たちに襲われる。彼らを救ったのはロシアン・マフィアのボリス(サイフ・アリ・カーン)だった。

 インド映画にしては本編107分という超短編作品である。しかも、オープニングとエンディングこそインド映画らしいにぎやかさだが、物語の中には歌い踊るシーンはない。インド映画独特の魅力には欠けるものの、一般の映画ファンにとっては敷居が低いともいえる。ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に感銘を受けてゾンビ映画にはまった私が見ても、インド風味に巧くアレンジされたゾンビ映画になっている。日本映画でも主にDVDスルーの作品に和製ゾンビ映画が見られるが、低予算であったり、最後まで徹底しきれなかったり、企画倒れに終わってしまった作品は多い。その点、この「インド・オブ・ザ・デッド」では、実際にロシア人に人気のビーチリゾートの麻薬問題を扱いながら、しっかりと笑わせてくれている。

 DVDのジャケットには真っ先にサイフ・アリ・カーンがクレジットされているが、主役はヴィール・ダース、クナール・ケームー、アーナンド・ティワーリーの3人組。サイフ・アリ・カーンには「エージェント・ヴィノッド」のカッコよさはなく、それどころかデリー生まれのロシア人という素っ頓狂なキャラクターを楽しげに演じている。一番冴えないバニーを演じたアーナンド・ティワーリーは、ニック・モラニスを髣髴とさせる芸達者ぶりだったが、彼は「スラムドッグ$ミリオネア」などにも出演している実力派俳優だった。ヒロインのプージャー・グプターはこの作品が出演3作目。インド人女優特有の妖艶な美しさを持つ女優ではなく、フレッシュな美しさがあり、今後の活躍が楽しみである。

作品データ
監督:ラージ・ニディモールー&クリシュナDK 出演:サイフ・アリ・カーン、クナール・ケームー他
製作年:2013年 製作国:インド


インド・オブ・ザ・デッド [DVD]
オデッサ・エンタテインメント
2015-06-02

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