浅田真央と祥子 D坂の殺人事件

D坂の殺人事件 ☆ 【BD】D坂の殺人事件 ☆ 【BD】

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 探偵・明智小五郎が初めて登場する江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』を「失恋殺人」の窪田将治監督が映画化した。主演は「週刊ポスト」で人気を博した謎の美女・祥子。『D坂の殺人事件』は1998年に実相寺昭雄も映画化しているが、この作品は『屋根裏の散歩者』の設定を組み込んで脚色されており、厳密には『D坂の殺人事件』を映画化したものではない。

 D坂で首を吊った蕎麦屋の主人(仁科貴)の死体が見つかる。警察は自殺と判断するが、探偵・明智小五郎(草野康太)は他殺の疑いを抱き、妻の文代(大谷英子)とともに捜査を行う。蕎麦屋の主人は古本屋の常連であり、古本屋の主人(木下ほうか)は遺体の第一発見者だった。明智は古本屋の妻(祥子)と蕎麦屋の主人との関係を調べ始める。一方、蕎麦屋の主人と古本屋の妻の密会現場を目撃した書生の郷田(河合龍之介)は、古本屋の妻に惹かれ、彼女に近づき始める。

 主演の謎の美女・祥子については毎週新聞広告で名前だけは目にしていたものの、私が実際に見たのはこの作品が初めて。もともと女優志望だったらしく、演技も決して下手ではなかった。壇蜜のように得体の知れない面白さには欠けるが、落ち着いた雰囲気の美人である。顔を見ているとフィギュアの浅田真央を髣髴とさせ、不謹慎にも競技に復帰する彼女の面影を官能的なシーンに重ねてしまった。祥子のグラビア人気に当て込んだ作品であることは確かだが、巧いと思ったのは彼女の裸を物語半ばまで封印したこと。官能的なシーンは冒頭からあるのだが、裸を露わにしなかったことで後半に期待をつないだといったところか。

 江戸川乱歩の有名な作品のタイトルを冠しているとはいえ、映画のストーリーは本格的推理とはいえない。しかも、扇情的な宣伝文句の割に作品は抑制的で、期待したほどのおどろおどろしさもない。しかし、いかにも大正末期っぽいモノトーンの雰囲気で貫かれ、物語は全く面白くないのにどっぷりと作品の世界に浸ることができた。実相寺昭雄監督であれば猟奇的かつ耽美的に描くところを、淡々と描くことで逆に江戸川乱歩の作品のイメージに近いものができあがったような気がする。

 Blu-rayのアンリミテッド版を購入したので、薄暗い中でも美しい映像を見ることができた。このテの作品はDVDで十分だと思っているが、この作品に関してはBlu-rayを買った自分を許せる。


作品データ
監督:窪田将治 出演:祥子、河合龍之介、草野康太他
製作年:2015年 製作国:日本


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