結婚とは ゴーン・ガール

ゴーン・ガール GONE GIRL 【iTunes】

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 第87回アカデミー賞でロザムンド・パイクが主演女優賞にノミネートされた話題作。ギリアン・フリンのミステリ小説『ゴーン・ガール』(小学館文庫)をデヴィッド・フィンチャー監督が映画化した。原作者のギリアン・フリンが脚本を担当しており、単にベストセラーの名前を借りただけの作品ではないようだ。

ニック(ベン・アフレック)は妻エイミー(ロザムンド・パイク)と故郷ミズーリ州の田舎町で暮らしていたが、結婚5周年の記念日にエイミーが突然姿を消す。大々的な捜査が進む中、世間はアリバイのないニックへ疑念を抱き始める。次々とニックに不利な事実が明らかになるが、ニックはみずから妻探しを始め、エイミーの知られざる一面が明らかになっていく。

 評判の高い作品ではあったが、期待に違わず面白いミステリ小説を読んだような満足感を得ることができた。夫ニックの視点だけではなく、並行してエイミーの日記によって物語を進めていく構成が巧い。小説と異なり、映画の場合は物語を追っていくうちに展開が読めてしまうものだが、二重三重に罠が仕掛けられていて観客も容易に真相にたどり着けないのだ。そして最後まで見終わっても、どこまでが真実でどこからが嘘なのかが判然としない。それでも消化不良の印象を与えることなく最後まで作品を見せてしまうところがすばらしい。

 主演のロザムンド・パイクは個人的にも「007ダイ・アナザー・デイ」から気になる女優だった。いわゆる「美人女優」ではないが、知的な雰囲気の美人で、日本人にとって親しみのわくタイプのような気がする。しかし、「リバティーン」や「プライドと偏見」、「ジョニー・イングリッシュ」や「アウトロー」などと見てきても、いまひとつ華というものが感じられない。共演した女優と比較すると、容貌にも演技にも「キレ」のようなものが見られなかったのだ。ところが、この作品で演じたエイミーは一皮むけた印象がある。この作品を見た私も夫ニックと同じように、騙されたことがわかっても彼女と別れることができない状態に追い込まれてしまった。案外、この作品は「結婚」というものの本質を突いているのかもしれない。

作品データ
監督・デヴィッド・フィンチャー 出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイクほか
製作年:2014年 製作国:アメリカ


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