カンフー好きのキアヌ・リーブスがついに中国映画を監督してしまった。中国本土での評判は散々だったようだが、アクション監督に「マトリックス」のユエン・ウーピン、共演にカレン・モクやサイモン・ヤムを迎えたところは香港映画ファンには堪らない。キアヌの場合、間違っても「ダブル・インパクト」のジャン=クロード・ヴァンダムのようにはならないだろう。
太極拳の本当の強さを伝えたいと修行に励むタイガー(タイガー・チェン)は、香港で警備会社を経営するドナカ(キアヌ・リーブス)から闇の格闘技大会への出場を持ちかけられる。師匠の寺の取り壊しを回避する資金を稼ぐために格闘技大会に出場したタイガーは、次々と対戦相手を倒していくうちに師匠の教えに背き、闇の世界に深く足を踏み入れることになる。
中国拳法の中でも、健康法として普及している太極拳を取り上げたところは面白い。とはいえ、アクション・シーンの中で太極拳らしい動きをしているのは一部に過ぎず、作品全体としては太極拳そのものの強さをアピールしきれなかった点は残念な気がする。主人公のタイガーを演じた、その名もタイガー・チェンは、「マトリックス」でキアヌのスタントマンを務めたということでアクションに関しては全く問題がない。しかし、はっきり言って主役としてのオーラには欠けていた(個人的に氷川きよしに似ていると気づいてしまったことも敗因だが)。もっとも、キアヌ・リーブスも敵役として出ているものの、それほど出しゃばっているわけではなく、スクリーン上でのバランスは取れていた。そして、インドネシア映画「ザ・レイド」のイコ・ウワイスが最強キャラとして出演し、彼の扱いもしっかり考えられていた点も嬉しい。最大の問題は、アクションもそれなりにレベルが高く、「なんちゃって」カンフー映画に終わらず、中国映画(香港映画)として成り立ってしまったことで逆に凡作になってしまったことだろうか。
作品データ
監督:キアヌ・リーブス 出演:タイガー・チェン、キアヌ・リーブス、カレン・モク他
製作年:2013年 製作国:アメリカ、中国
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