10年前に刊行された桜坂洋のライトノベル『All You Need Is Kill』が原作のSF映画である。日本の小説がハリウッドで、しかもトム・クルーズの主演で映画化されるのだからたいしたものだ。トム・クルーズが、「偉大なるマンネリ」ともいえる「いつものカッコいいトム・クルーズ」を演じている。「オブリビオン」もそうだったが、アクションやSFでトム・クルーズを演じさせたら、トム・クルーズの右に出る者はまずいないだろう。
英語版ソフト発売の際に「Live Die Repeat」というタイトルに改められたというが、このタイトルがストーリーを分かりやすく説明している。 地球はエイリアン「ギタイ」の襲来によって滅亡の危機に瀕していた。統合防衛軍の報道官だったケイジ少佐(トム・クルーズ)は前線に送られ、ギタイと戦うことになるが、時間を操る能力を持つギタイの体液を浴びたことで、死んだ瞬間に出撃前日に遡るタイムループに巻き込まれてしまう。ケイジは同じ経験をした女性兵士リタ(エミリー・ブラント)とともにタイムループを繰り返し、戦闘経験を重ねてギタイを倒そうと試みる。
同じ時間を繰り返し生きるというテーマは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「バタフライ・エフェクト」などでもお馴染みだが、この作品ほどしつこく同じ場面を繰り返す作品は初めてかもしれない。予算をかけずに尺を稼ごうとしているのではないかと思えるほど同じシーンが繰り返される。タイムループをすることで、よりよい選択ができるというのは幻想に過ぎないのだが、数多く失敗を繰り返すことでストーリーに説得力を持たせている。タイムパラドックスがあるにせよ、細かいことは気にせずスマホのゲームをリプレイしてステージを上げるような感覚で楽しめばいい。
アベノミクス解散によって第47回衆議院議員総選挙が行われ、第3次安倍内閣がスタートした。「大義なき解散」といわれたが、安倍首相にとっては、これも不利な状況をリセットしてよりよい結果を得るためだったのだろうか。問題は、過去をリセットした本人はいいとして、置き去りにされた過去はそのまま別の時間として存在するということなのだが。
作品データ
監督:ダグ・リーマン 出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント他
製作年:2014年 製作国:アメリカ
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